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マドリードのオーガニックビール

2019.01.16

2019年1月7日 ABC Web記事より

マドリード州政府によるオーガニッククラフトビールプロジェクトが開始する。現在スペインで飲まれているビールの原料ホップは、一部国内で栽培されてはいるが、ほとんどが輸入に頼っている。ましてマドリード付近でのホップの栽培は全くゼロである。そんな中、州政府が打ち出した案は、マドリード近郊で高品質のオーガニックのホップを、しかも3期作を目指して栽培しようというものなのだ。

 

ビールの原材料は水、ホップと大麦の3つである。マドリード州でホップの栽培が盛んになれば、地域性の高いクラフトビールが生産できる。しかも環境省とビール製造企業や農業者たちが本格的に乗り出しているこの計画が進めば、生粋のマドリード産オーガニックビールが誕生する。このプロジェクトは、まず試験的に3年間かけてホップを栽培するところから始まる。マドリードの農村農地食品研究所イミドラ(El Instituto Madrileño de Investigación Rural, Agrario y Alimentario)は、この新規計画に対して非常に慎重になっている。また、この試験的栽培には予算として161.000ユーロが使われる。

 

 

 

 

スペイン環境省顧問のカルロス・イスキエルド氏によると、今後はスペイン国内の他の地域でもホップの栽培強化に努めていく予定であるそうだ。マドリード近郊の山合いの地域、リベーラス・デ・ロス・リオス(riberas de los ríos)やラス・ベガス・デル・スール(las vegas del sur)なども栽培の候補地に挙がっている。こうしてマドリード付近の気候に対応したホップを改良していこうという訳である。スペインの農業協同組合は先のイミドラの薦めもあり、クラフトビールを取り扱っているマドリード州のブスタールビエホにある製造元ガバレーラ(Gabarrera y Cooperativo)とラジョ・ヴェルデ(Rayo Verde)モナステリオ・ナトゥラル(Monasterio Natural)とも共同で作業を進めていくという。

 

もしこの計画が順調に行けば、ホップを輸入(主にドイツから)する必要が無くなる。そして、10年ほど前から既にレオンなどで栽培されていたホップの生産もシェアーが拡大しつつある。それと合わせるといずれはスペイン国内で消費されるほとんどが、原材料も国産でまかなわれる事になるかもしれないのだ。

 

今後環境省は、未開発の土地を開拓して多様化していく事に力を入れていく意向を示している。実際、ラス・ベガス・デル・スールには10.000ヘクターもの眠れる土地が放置されている。しかも、ビール製造が活発化する事によって雇用が生まれ、町おこしにもなる。ホップは麻科のつる性多年草。味と香りの良し悪しは土地や環境によって非常に差が出やすいデリケートさでドイツを中心に生産され世界に輸出されている。スペインのクラフトビールには、未知なる可能性がたくさん詰まっているのである。

 

 

クラフトビールブームのスペイン

自家製ビールを趣味とする人も少なくないほど、近年スペインではクラフトビールブームです。クラフトビールはスペイン語で「cerveza artesano」と言います。ただでさえもビール好きなスペイン人ですから、美味しいビールを追求するのは当然のこと。メイド・イン・マドリードのオーガニックビールが日本へ輸出される日もそう遠くないかもしれません。