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ホワイトハウスからの手紙

2018.10.13

SNSが網羅する現在、有名人・著名人のふるまいはひとつ間違えば、あっという間にその姿が世間に知れ渡るご時世。とはいえ、人間はいつも完璧に生きているとは限りません。素敵なギャップなら良いのですが、その逆だとがっかりされたり非難を受けることもあるでしょう。さて、2018年初夏のある週末、セビージャのあるレストランにある大物政治家が訪れた時はどうだったのでしょうか?

 

2018年9月28日 ABC Sevilla Web記事より

まず、夫人との結婚20周年記念のディナーとして予約されたレストランには偽名が伝えられていた。紳士的なエスコートで夫人と幸せなひと時を過ごし、レストランのデコレーションのトマトの赤に驚き、実際に彼の祖父も畑でトマトを植えていた話などをレストランのオーナーに語るなど終始和やかな雰囲気であった。レストランの共同オーナーで兄弟でもあるセルヒオとハビエル・サンルカルは、その5月の夜のことをよく覚えてるという。夫妻は大満足した様子でレストランを後にし、宿泊先であるホテル・アルフォンソへ戻って行った。

 

しばらく経って、レストランに一通の礼状が届く。何と、ホワイトハウスの刻印入り封筒と便箋で、彼の本名が添えてあり内容はこう始まっていた。

 

親愛なるセルヒオとハビエル

”貴方達の美味しいディナーととびきりのサービスによって、僕達の20周年記念は2人にとっての一生の宝物になったと言っても過言ではありません・・・”

 

2人の若いオーナーは驚き、彼の名をインターネットで検索すると、実はドナルド・トランプ大統領に直属する重要な役目を果たす人物ということが判明した。しかも彼によってアメリカの財布が握られているということも。彼の名は、ミック・マルバニー。現ドナルド・トランプ政権の行政管理予算局長である。後にセルヒオとハビエルは「場所柄、有名人が来ることもあるが、まさかそんな重要人物だったとは知らなかったよ。どこかのお偉いさんだろうな、ぐらいにしか思っていなかったから」とニュースのインタビューで語っている。また届いた手紙をそのような大切なものとは知らず、ゴミ箱に捨ててしまわなくてよかったともコメントしている。

 

ミック夫妻の頼んだメニューは、トマトとマグロのサラダ、パセリ、ニンニクや香辛料が効いたchimichurriソースがけのビーフコロッケ、セビージャ風スープ、トリッハなどだそうだ。オーナー達は、400ユーロのワインを勧めようかとも思ったが、もう少しリーズナブルなサンルカル製のワインを選んで提供したという。ミック夫妻はその夜の料理とサービスに感激したらしく、結婚40周年目もここで祝いたいと手紙に付け加えていたそうだ。

 

サービス業を営む者にとって、お客の喜ぶ姿は何よりモチベーションが上がり元気が出るものである。一生懸命働いてきた彼らにとって、このホワイトハウスからの礼状は大変名誉であり、さらにステップアップする原動力となったことは間違いないだろう。

 

 

セントロの入り口サン・フェルナンド

 

セビージャのサン・フェルナンド地域は、かのホテル・アルフォンソと、セビージャ大学が連なり毎日大勢の人が行き交います。また、ホテルの目の前に中心街へとつながる路面電車のスタート地点の駅やグアダルキビール川、黄金の塔やトゥリアナ地区へも近く、非常に利便性が高いです。ちなみに、彼らのレストランは、ホテル前の「Mirador de San Fernando」。ちゃんとホワイトハウスからの手紙が飾ってあるそうです。