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「ガスパッチョ」のもともとの意味は?スペインの夏の食べ物の名前の由来

2019.08.18

氷の塊を入れて冷やす冷蔵庫しかなく、町の市場や広場まで運ぶ運搬手段しかなかった頃は、食べ物にははっきりとした旬がありました。たとえば、ガスパチョはトマトが穫れる時期にだけ食べられていました。冷蔵庫で何でも保存しておける現在では、収穫したものを冷蔵庫に入れておけば一年中食べることができます。でも、旬のものはおいしいですね。そこで、スペインで夏によく食べられるものの名前の由来を見てみましょう。

 

 

・gazpacho(ガスパッチョ)

「gazpacho」は、トマト、ピーマン、ニンニク、きゅうり、オリーブオイル、パン、ビネガーなどで作る冷たいスープで夏にぴったり。この言葉には「残った食べ物、残り物」という意味があります。語源は、「価値のない残った食べ物」を意味するラテン語の「caspicis」。昔は「los gazpachos」と複数形で使われていました。

 

 

・salmorejo(サルモレッホ)

「salmorejo」はガスパッチョに似たコルドバの冷たいスープですが、野菜はトマトだけを使い、仕上げにゆで卵と生ハムをのせるのがポイント。「salmuera」という言葉に縮小辞「-ejo」がついたものです。“Más costará el salmorejo que el conejo”(サルモレッホはうさぎより高くつく)ということわざをみると、この言葉の意味がどのように変化してきたかがわかるでしょう。「本質的なことでなく、装飾的なことにお金をかけるのは馬鹿げている」というのがこのことわざの意味で、昔、サルモレッホはうさぎなどの肉に添えるもの、つまり塩と水、コショウと酢でできたソースにすぎなかったことを示しています。現在のようにトマトを主な材料としたガスパッチョの一種を意味するようになったのは、19世紀のアンダルシアでのことです。

 

・sardinas(イワシ)

8月が旬の魚には昔から広く使われている名前があります。たとえば「sardinas」がその一つ。その匂いと同様に「しつこく」使われており、スペイン語の歴史の中に他の同義語は見当たりません。古くラテン語では「alec」と呼ばれていました。

 

 

・caballo, caballa(サバ)

夏が旬の魚の中には、名前が場所によって変わる魚がいます。たとえば、「caballa(サバ)」は昔「caballo」と呼ばれていて、アンダルシアの港の中には「tonino」(ラテン語のthunnusに由来)と呼ぶところもあります。

 

・cucurucho(とんがり帽子)

この言葉は修道院に関連しています。修道士が着る帽子(フード)がついた服のことを意味し(ラテン語の「cuculla」に由来)、てっぺんがとんがった帽子のことも意味します。ここから、中に食べ物などを入れるために片方がとんがった形、つまり円錐形にした紙のことも指すようになりました。アイスクリームコーンを指すことも。

 

 

・napolitanos, cassata(アイスクリーム)

夏は冷たいアイスクリームもおいしいですね。アイスクリーム(ジェラート)といえばイタリア。19世紀、アイスクリームはレシピがイタリアから来ていることからスペイン語では「napolitanos」と呼ばれていました。完全にイタリア語がアイスクリームの名前として残っているのがエクアドル、チリ、アルゼンチン、ウルグアイなどで、昔ながらの三層になった三種類の風味のアイスクリームは「cassata」と呼ばれています。これはスペインでは「corte」と呼ばれています。

 

・tinto de verano(ティント・デ・ベラーノ)

夏の飲み物の一つ、「tinto de verano」は「vino tinto」(赤ワイン)から名前が取られています。「tinto」は「teñir」(染める)という動詞の過去分詞形です。赤ワインは「染められた、色がついた」ワインというわけです。コロンビア、ベネズエラ、エクアドルでは「tinto」はミルクの入っていないコーヒーの名前になるのでご注意を。

 

・sangría(サングリア)

「sangría」は中世で一般的だった医療行為(瀉血療法)を意味していましたが、19世紀にはワインから作られる甘い飲み物を意味するようになりました。赤ワインの色を考えると、前者の意味も納得がいくかも。

 

 

・horchata(オルチャタ)

「horchata」はバレンシア地方でよく飲まれている夏の飲み物。「chufa」というカヤツリグサの塊茎を水、砂糖といっしょにすりつぶして作ります。国や地域によってはカヤツリグサの代わりにお米やアーモンドで作られることもあります。昔は「hordiate」(大麦で作った冷たい飲み物)や「avenate」(オートミールで作った飲み物)が飲まれていました。「horchata」の語源はラテン語の形容詞「hordeata」(大麦で作られた、の意味)。18世紀ごろの辞書を見ると、「horchata」のレシピは今のものとは少し違っていて、「メロンとかぼちゃの種、アーモンドを水、砂糖といっしょにつぶして作る」となっています。13世紀にハイメ1世が言ったと言われる「Això no és llet, això és or, xata» (¡esto no es leche, esto es oro, guapa! 」(これはミルクではない、これは金だ、お嬢さん!)という言葉が「horchata」の起源だとする説もありますが、真偽のほどは定かではないようです。