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今年もやってくる☠️🎷メキシコの死者の日!

2019.10.22

この時期に話題となるスペイン語圏の有名なお祭りといえば……🌹💀😈

 

 

そう! メキシコの死者の日です。「メキシコのお盆」とも云われているこのお祭り、亡くなった人たちの魂が現世に戻ってきて、家族たちに会いに来てくれるとされています。もともと、メキシコは代表的なモチーフ「カラベラ」(カラフルな骸骨の工芸品)が有名ですが、死者の日当日には、それはもう、そこかしこにたくさんのカラベラが飾り付けられ、街全体が賑やかな骸骨たちの王国に様変わり。11月1日から2日にかけて盛大に行われるので、今頃メキシコの皆さんは、それぞれの先祖のためのお花や飾り、供物を用意するための準備に勤しんでいることでしょう。日本のお盆の文化とは異なり、メキシコの死者のお出迎えはとにかく派手に、カラフルに行われます。

 

ところで、日本だと10月末に意識するのはハロウィンで、最近は都会で盛大なコスプレ大会が行われていますが、メキシコ人にとってハロウィンはどんな位置付けなのでしょう?🎃ちょうどハロウィンは死者の日の前日(10月31日)に当たるため、まずはかぼちゃのモチーフでハロウィンのお祝いをした後に、そのまま死者の日のお祭りに移行する、つまり3日間連続のお祭り感覚、という人も多いそうです。けれども、メキシコの伝統的な祝祭の直前にアメリカの祝祭が流行することに危機感を覚えている人も一方ではいて、そういった人たちはハロウィン流行をなるべく抑えようと運動しています。ハロウィンと死者の日が混同されて誤解されるのはよくないことですしね。

 

■死者の日の起源

 

ところで、今やメキシコの国民的祝祭となった死者の日は、どのようにして定着したのでしょうか。概してメキシコを含めた中南米諸国は、各地域の土着の伝統文化と、植民地時代にヨーロッパからもたらされたローマ・カトリックの文化が融合しています。だから、死者の日もその2つの異なる文化それぞれに起源を持ちます。

 

まず死者の日が11月1日〜2日であることには、カトリックの万聖節(Día de Todos los Santos)が関係しています。カトリックの列聖された聖人すべてを一度に祝うのが万聖節で、毎年11月1日〜2日に行われます(その前夜祭がハロウィンです)。この万聖節は、植民地時代にカトリックの文化としてラテンアメリカ各地にもたらされました。メキシコではそれが諸聖人の日から諸死者の日と変わり、今ではカトリックの聖人というより、亡くなった身内の魂を迎える日となりました。

 

でも「死者の日はヨーロッパのカトリックが起源」と言われて、違和感を覚える人もいると思います。もちろんこのお祭りの成立には、一方で、土着の祝祭が影響しています。スペイン人たちの前にメキシコを支配していたアステカ文明にもまた、死者のための祝祭が存在していました。この文明の神話の重要な女神「ミクトランシワトル(Mictlantecihuatl)」は冥府の女神で、骸骨の顔を持ちます。アステカ族には彼女のためのお祭り(暦は8月)があり、それがのちに、カトリックからもたらされた聖カトリーナと融合して、メキシコ独自の骸骨の貴婦人「カトリーナ」に変化したと考えられています。だから死者の日は、カトリーナに捧げるお祭りであるともされています。死者の日はカラベラを飾るだけでなく、お祭りの参加者たち自身が派手な骸骨化粧を施して楽しみますが、それはカトリーナへのオマージュでもあるのでしょう。

 

ハロウィンと死者の日は、ともに万聖節が関連しているという共通点はありますが、死者の日にはその土地に古くから根付いていた土着の信仰も生きていることを考えると、やはり別々の祝祭として、区別した方がよいのではないでしょうか。

 

もし死者の日にメキシコに行かれる方がいたら、大いに楽しんでくださいね!