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solo?それともsólo?

2023.03.11

1999年以前にスペイン語を学んだ人は、「〜だけ(solamente)」の意味の副詞として使うときはティルデ(アクセント記号)のついたsóloを使い、「1人の、たった1つの」の意味の形容詞として使うときはティルデのないsoloの形を使う、と学んだと思います。当時のRAE(Real Academia Española:スペイン王立アカデミー)の正書法ではそれが正しいとされていました。たとえば、次のように使い分けられていました。

 

Trabaja sólo los domingos.「(彼は)日曜日だけ働く」(副詞)

Trabaja solo los domingos.「(彼は)日曜日は1人で働く」(形容詞)

 

1999年から2010年の間は、書き手が曖昧になると感じる場合には副詞にはティルデがつくことがあるとされました。曖昧さがない場合には副詞でもsoloとしてもよいことになったのです。書き手の判断に委ねられたわけです。

 

さらに2010年の正書法では、一般的なルールとして形容詞にも副詞にもティルデをつけるべきではないとされました。文脈から形容詞か副詞かは読み取れる、曖昧な場合は他の言葉を使うことで曖昧さを避けられるというのがRAEの主張でした。副詞のティルデが禁止されたわけではありませんが、この変更に違和感を持った人も多かったようです。副詞としてのsoloにティルデをつけるかつけないかの問題は現在まで論議が繰り返されていました。

 

Solo llevaba un par de monedas en el bolsillo.「(彼は)ポケットに数枚のコインしか持っていなかった」(副詞)

No me gusta estar solo.「私は1人でいるのは好きではない」(形容詞)

 

そして、今年2023年、RAEは「(soloには)形容詞でも副詞でもティルデはつけないが、書き手が曖昧になると感じる場合には副詞にティルデをつけても良い」という見解を出しました。再び書き手の判断に委ねられることになったわけですが、発音のアクセント記号をつけるルールにこだわってティルデに反対しているように見えるRAEと、文脈を大切にしたい作家などのティルデ賛成派の論争はまだまだ続きそうです。

 

学習者としては、(soloには)副詞にはティルデをつけて、形容詞にはつけない、としてくれた方がはっきりしていい気もしますが、そう簡単にはいかないようです。