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スペインの古謡「La Tarara」

2019.06.07

まずはこの曲をお聞きください。

 

 

スペイン語を長く勉強していたら、この旋律を耳にしたことがあるかもしれません。これはスペインでもっとも知られている民謡の1つ「ラ・タララ」です。哀愁ただようメロディラインですが覚えやすく、なんども聞いていたら自然と耳に残る名曲です。「タララ」という娘のことを歌う曲。彼女は緑色のドレスを着て踊りながら、オリーブ畑の若者たちを誘惑します。そんな彼女を憐れんでいる民謡、と言えます(tararaには「理性をなくした人」「狂人」という意味があります)。

 

 

La Tarara, sí; 
la tarara, no; 
la Tarara, niña, 
que la he visto yo. 
Lleva la Tarara
un vestido verde 
lleno de volantes 
y de cascabeles. 
La Tarara, sí; 
la tarara, no; 
la Tarara, niña, 
que la he visto yo. 
Luce mi Tarara 
su cola de seda 
sobre las retamas 
y la hierbabuena. 
Ay, Tarara loca. 
Mueve, la cintura 
para los muchachos 
de las aceitunas.

 

 

 

もともとは、子どもたちが手を繋いで「輪になって踊る」ための歌でした(日本でも「かごめかごめ」や、最近では「マイムマイム」とかそうした定番曲がありますよね)。各地の民謡だったので、それぞれの土地で歌詞のバリエーションがありました。一体どこからやってきた歌なのか、専門家の中にはセファルディ(スペイン語を話すユダヤ系の人びと)のコプラという韻文詩からの由来を示唆する人もいます。ただ、「ラ・タララ」の最初のバージョンが確認されているのは19世紀になってからのこと。そして今も人びとの間でよく歌い・聞かれているのは、グラナダのフェデリコ・ガルシア・ロルカが編曲したものです。

 

フラメンコを愛していたロルカは1931年に、カンタオーラのラ・アルヘンティニータと共に、採譜した数々のスペイン古謡をレコード収録。この時ロルカがピアノの伴奏をし、ラ・アルヘンティニータが歌いました。収録された曲の中にはフラメンコの踊り手にはおなじみの定番曲「18世紀のセビジャーナス」も含まれます。「ラ・タララ」は『13のスペインの古謡』の中にまとめられました。

 

なおロルカとラ・アルヘンティニータの当時のレコードは今なら、Spotifyで原曲を聴けます(すごい時代です!)。ただこのレコードには残念ながら「ラ・タララ」は含まれませんが……。

 

 

 

 

「ラ・タララ」はカマロン・デ・ラ・イスラもカバーしています(歌詞が若干異なります)のでカンテファンには良く知られた曲だとも思います。

 

 

 

先日の6月5日がロルカの誕生日だったので、さまざまな歌手による「ラ・タララ」をたくさん聞いたADELANTEスタッフなのでした。