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Rosalíaをめぐる議論、音楽業界におけるスペイン語楽曲の無分別

2019.08.29

今週26日、カタルーニャ出身の歌姫がスペイン人の女性アーティストとして史上初のMTV Video Music Awardsを受賞しました。独創的な才能を発揮し続けている彼女が受賞した部門は「最優秀ラテン賞」と「最優秀撮影賞」。間違いなく、今世界でもっとも存在感のあるスペイン人アーティストです。今年のコーチェラでも披露した、コロンビア出身のレゲトン歌手J.Balvinとの楽曲《Con Altura》が、今回の2つの賞の受賞に繋がりました。けれども、Rosalía自身はラティーナの歌手ではないことから、「最優秀ラテン賞」の受賞後に議論が起こりました。つまり「スペイン人」の彼女が「ラテン(中南米)人」の賞を獲得したことに反発した人たちがいたのです。

 

 

 

怒っている人たちの大半は、自分たちの分野をスペイン人に奪われたと感じたラティーノたちなのですが、これを受けてラテンカルチャー専門メディア「Remezcla」がこの議論の背景を次のように説明しました。というのは、国を問わず、音楽業界がスペイン語の楽曲を同じ部門にグループ化してしまっていることが原因なのではないかと。加えて「音楽業界がスペイン出身、ラテンアメリカ出身、ラテン系アメリカ人の歌手をみんなグループ化してしまったことがRosalía自身の責任ではないにせよ、彼女は自身がラティーナではないということを表明できたはずの機会を活かさなかった」とこのメディアはRosalíaに批判的なコメント。なぜならこのアーティストは過去に、バルセロナとスペインが彼女のルーツであるということを表明していたからです。

 

音楽業界におけるスペイン語楽曲の十把一絡げの状況を疑問視している人たちは多いようです。これはRosalía周辺だけではなく、他の有名スペイン人アーティスト(Alejandro Sanz、Rocío Dúrcal、Enrique Iglesias、Natalia Jiménez)にも当てはまる問題であると、スペインメディア(20minutos.es)は伝えています。

 

Rosalíaは、今の音楽業界にスペイン語楽曲のグローバルな旋風をもたらした立役者の1人には間違いがないのですが、スペイン語楽曲がポピュラーになるにつれて、これからは同言語圏内でも互いのアイデンティティを尊重するために各ジャンルの確立が重要視されていくのでしょう。Enrique IglesiasもNicky Jamとコラボしていますが、これも純粋にラティーノのレゲトンとみなすのか、どうなのか、気になるところ。