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素焼きの水入れ “El Botijo”

2018.06.30

Wikipediaより

ボティッホ、ボティッハ(ラテンアメリカの国々)ブカロ(スペイン南部)と呼ばれる多孔質の粘土製の陶器は、流し飲みや保存用の素焼きの水入れである。スペインやラテンアメリカの国の陶器店では、丸い形に取っ手と穴が2つ空いた陶器が必ず並んでいる。その2つの穴はそれぞれ大きさが違い、一つは口が大きめもう一つは小さく、通常、bocaと呼ばれる広めの注ぎ口から水を入れ、pitón または pitorroと呼ばれる小さい飲み口からちょうど良い具合にしたたる水を流し飲みすることが出来る。このボティッホは、スペイン国内でも、カスティージャ地方やアラゴン州、エストレマドゥーラ地方、ラ・マンチャ地方、アンダルシア地方や北部の湿度の高い地域などでよく見られる。スペイン最古のボティッハは、イベリア半島のアルガリカ文明時代の物で、ムルシア地方のPuntarrón Chicoという段々畑にも似た円錐型の土地で発見された。実際、ムルシア地方の博物館には、11cm×9.5cmのボティッホの原型が飾られている。

 

 

さて、ボティッハの性能について説明しよう。まず、無数の目に見えない穴がボティッハの表面には開いている。中に水を注ぐと、地中海性気候特有の乾燥した空気とあいまって穴から水が蒸発していく。その時、蒸発した水1グラムにつき2,219キロジュールの熱が吸収される。この熱吸収の作用によって中の水が冷えていく。これがボティッハの仕組みである。ある地域では、新しいボティッハをおろす時にたっぷりの水とアニス酒少々を入れて2日間置いておく。また、沿岸沿いの地域だと積載口の海洋エッジに何日かくくり付けて置いた後、引き上げて塩分をよく流してから使うそうだ。

 

 

語源学によると、バスク地方にあるボティッハを持つエイバルの銅像は、見習いの料理人や使用人が水を運ぶ様が表現されている。Real Academia Españolaによると、ラテン語でbuttisと呼ばれていた樽が、中世期にはbutticulaとなったとされている。おそらく、ムスリムのアラビア語、キリスト教のロマンス語がミックスして出来ていった言葉と言われている。1611年に、セバスティアン・デ・コバルビアスが、この太鼓腹のような形の飲み口の狭い陶器の水入れを最初に発見した。小さい子供達が泣きそうになる時頬っぺたを膨らませる時、embotijarseと言うが、それもボティッハから語源が来ている。

 

 

スペイン国内ではボティッハは様々な呼び名を持つ。南部や南西では、ボテッハ、ボテッホ、ブカロ、カチュチョ、ピンポーロ、ピポーロ、ピポ、ピポーテ、ピルロなどと呼ばれる。またグラナダからグアダルキビール川に沿っての地域ウエルバでは、ニャネ、ピチ、ピチェ、エストレマドゥーラでは、ピチェと呼ばれる。アラゴン州ではラーロ、バレンシアでは、ボティッハ、ボティッチャ、ボティチェタとなる。ギプスコア県では、ソンヒラ、セガマ、カタルーニャ地方ではカンティールと呼ばれている。またボティッハの親戚のような容器は、バリル、ボティッハ・デ・カーロというものもある。