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スペインの子どもなら誰でも知っているRatoncito Pérez

2019.04.26

 

スペインや中南米の子どもは歯が抜けると、枕の下に抜けた歯をおいて寝ます。すると、ネズミのペレスがやってきて、歯と交換に贈り物を置いていってくれるのです。日本人からすると、なんだか羨ましいですね。

 

このネズミのキャラクターは、1908年からRAEのメンバーも務めていたコロマ神父(Padre Luis Coloma, 1851-1915)によって19世紀末に作られました。当時8歳だったアルフォンソ13世の歯が抜けたときに、コロマ神父は王宮から物語を書くように要請を受け、ブビ王(アルフォンソ13世の幼名、彼の母親がこう呼んでいた)を主役としたストーリーを考えついたのです。第一版は1902年に、イラスト入りのものは1911年に出版されました。 

 

この物語では、ネズミに姿を変えたブビ王とペレスが子どもたちの暮らしを見るための旅に出ます。そして、自分とは違って貧しい子どももいること、王として子どもたちを守っていくこと、勇気、優しさなどを幼いブビ王は学びます。

 

パロマ神父の言葉によると、ペレスは麦わら帽子をかぶり、メガネをかけ、布製の靴を履き、背中には赤いカバンを背負っているそうです。

 

このネズミのペレスのおかげで、枕の下に抜けた歯を置いておくと硬貨(物語では金)の贈り物がもらえるという習慣がスペインだけではなく、スペイン語圏の中南米の国でも定着したようです。

 

そして、このパロマ神父の作品を基に、多くの作家やアーティストによってさまざまなお話や漫画が作られ、ペレスのキャラクターはますます多彩なものになり、子どもたちの夢だけでなく、ときには大人の夢もかき立てています。

 

ペレスに敬意を表して、物語の中でペレスが住んでいたという場所にCasa Museo Ratón Pérezという博物館が作られました。壁には「ここにペレスが住んでいました」というプレートが埋め込まれています。場所はプエルタ・デル・ソルの近くです。マドリードに行く機会があれば、ネズミのペレスの住んでいた場所を訪れてみるのも楽しいかもしれません。

 

日本では子どもの歯が抜けると、永久歯がきちんと生えてくるように「上の歯は縁の下に、下の歯は屋根に投げる」という習慣がありますが、今は記念に保存しておく人も多いようです。でも、歯が抜けたらネズミや妖精が来て贈り物がもらえる、という方が子どもにとっては嬉しいですよね!!