子供が生まれたらどれくらいの期間休める?スペインの育児休業事情
2019.09.11スペインでは今年(2019年)4月1日から男性の育児休業が5週間から8週間に延長されました。家庭での育児や家事の分担における男女間の不公平をなくし、少しでも出生率を上げることが目的で、2020年には12週間に、2021年には16週間まで延長される予定です。
男性の育児休業8週間のうち、2週間は配偶者の出産後すぐに連続して取ることが義務付けられています。残りの6週間はその2週間に続けて取得してもよいし、子供が1歳になるまでならいつでも取得することができます。この育児休業期間中、給料は100%支払われます。休業の譲渡は不可で、男性、つまり子供の父親が取得しなかったとしても、その分を母親に譲渡することはできません。
女性の育児休業は16週間で、出産後の6週間は取得が義務付けられています。残りの10週間は最初の6週間に続けて取得してもよいし、子供が1歳になるまでならいつでも取得可能です。また、女性の育児休業のうち4週間は配偶者に譲渡することができます。たとえば、女性が早く復職したい場合は残りの育児休業を配偶者に譲渡して育児をしてもらうという選択が可能です。
2021年に男性の育児休業が16週間に延長されれば、女性の育児休業と同じ長さになり、子供の誕生に伴う家庭でのさまざまな変化に対応しやすくなるでしょう。
他のヨーロッパ諸国の育児休業の期間を見ると、ドイツとオーストリアはスペインと同じで男性が8週間で女性が16週間、フランスとオランダは男性が2週間で女性が16週間、ポルトガルは男性が2週間で女性が32週間、イギリスは男性が2週間で女性が52週間など、国によってかなり違います。
日本では、産前休業が出産日以前42日、産後休業が56日間、育児休業が産後休業後から子供の1歳の誕生日の前日までとなっています。産前、産後の休業は女性なら誰でも取得できます。育児休業は1歳未満の子供を養育している労働者であれば男女問わず取得可能です。ただし子供1人について労働者1人につき1回取得できることになっていますが、両親ともに取得する場合は1歳2ヶ月まで延長されるなどの措置も取られています。ただ、男性の育児休業の取得率はまだ約5%で、政府は取得率13%の達成を目指しています。
スペインの男性の育児休業取得率は日本ほど低くはないものの、やはりまだ少ないようです。育児休業の制度はだんだんと改良されているので、それを十分に利用できるように法律の内容を周知する、取りやすい環境を作る、父親と母親の両方が当たり前に育児や家事に関わる意識を持つなどが必要な気がします。子供を育てやすい社会になれば、みんなが暮らしやすい社会になると思います。