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スペイン人が訪日する理由

2018.12.11

2018年は、外国人観光客が過去最高に訪日した年でしたが、多くのスペイン人観光客も日本にやって来ました。では、なぜこんなにもスペイン人が日本へ訪れるのでしょう?日本は高度テクノロジーを誇るだけの国ではなく、様々な分野で世界に浸透しています。それらは、ファッション、芸術、文学、建築物、車・・など生活と密接したものばかり。今回は、なぜスペイン人(諸外国の人も含め)が訪日するのかスペイン人の目線で理由を綴ってみました。

 

 

Búsqueda de la emoción(情熱探しの旅)

スペイン人は、自分の中の秘めたる情熱を探しに日本へ訪れるのかもしれません。その情熱とは燃え盛るような類ではなく、実に穏やかなもの。心を縛る妄想を取り払い、我欲を捨て、物質的にも精神的にも自由になる禅の教えに興味を持つ人も少なくありません。人に対する「おもてなし」や「思いやり」「奥ゆかしさ」の精神も日本独特です。

 

Menos es más(ミニマリズムへの憧れ)

必要なものだけに囲まれて生きる。本当に必要なものを知ることは、自分を知ることでもあります。日本の持つ「慎ましやかさ」やミニマリズムは、スペイン人にとって新鮮でシンプルな気付きを与えてくれます。家の中をすっきり整えてあるものだけで暮らす。そこには消費や浪費とは無縁の世界があります。以前こちらで、断捨離」や「片付け法」がスペインでも流行っている記事を書きましたが、まさに日本はミニマリズムの象徴となっています。

 

Contacto con la naturaleza(和の自然に触れる)

baños de bosque(森林浴)がちょっとしたブームです。自然から学ぶ日本の森林療法とも言える、人の体と心に効く哲学のような自然とのふれあい。五感を使って森を歩く、癒される旅。日本にはそんな自然がたくさんあります。爽やかな竹林のごとく心も透き通っていくようです。竹は、世界でもエコロジーな植物で、リサイクルして繊維として使えます。

 

 

 

Pasión por lo artesanal(和の芸術への憧れ)

「花鳥風月」という言葉があります。天地自然の美しい風景を目で撫でて、それらを題材に詩を詠ったり絵画にしたりすることです。それらを表現しているのが俳句、短歌などで、スペイン語に訳され書物として販売されることが多くなりました。また、和の伝統芸能である能楽、狂言、歌舞伎、人形浄瑠璃、落語、盆踊りなどもとても魅了的に感じられるようです。また食べる芸術として和食はもちろんのこと、最近は和菓子も芸術的なスィーツと人気が出ています。

 

 

 

Conexión espiritual(精神的な結びつき)

「根性」という言葉を外国語になかなか訳せないように、日本には独特の言い回しがあります。「わびさび」「以心伝心」少し前に話題になった「忖度」など、白黒はっきりしないのが日本文化です。精神的な結びつきもやはり、その中に含まれるのではないでしょうか。口に出さなくても分かりあえる家族、友人、仲間たち。常に、自分を一歩下げて人と向き合う姿勢は日本独特です。また、日本の武道も、単なるスポーツではなく精神的な鍛錬や修行といった中ば伝統芸術として捉えている人も多いようです。