Autobús, guagua…国や地域で名前が変わる「バス」
2026.08.02
街中で便利にできる移動手段のバス。日本語なら「バス」と言えば通じますが、スペイン語圏では、国や地域で呼び方が変わります。
どこでどのように呼ばれているのか見ていきましょう。
Autobús
スペインでは、バスを “autobús” と呼ぶのが主流ですが、省略して “bus” と呼ぶこともあります。元々は1820年ごろにフランスの乗合馬車に使われていた言葉 “omnibus”が語源になっているそうです。”omnibus” はラテン語の「すべての、全体の」を意味する形容詞 “omnis” の変化形で、「すべての人々に」を意味しています。
エンジンの登場で、「自分自身(で)」を意味する”auto-” というギリシア語の接頭語がくっつき、私たちに馴染みのある “autobús” という名前が生まれました。
Guagua
スペインでは”autobús”が主流と言いましたが、カナリア諸島に行くと呼び名が変わります。キューバやドミニカ共和国、プエルト・リコなどでもバスを “guagua”と呼びます。なんだか面白い響きの名前ですが語源にはいくつかの説があります。
1つ目の説は、初期のエンジン付き車両のクラクションの音から 擬音語(オノマトペ)として “guagua”が生まれたというもの。
2つ目の説は一番受け入れられている説で、カリブ海のアンティル諸島に交通機関の車両を輸出していた米国の企業 Wa & Wa Co. (Wagon and Wagon Company) の名前から来ているというものです。現地の人たちがその企業のロゴの発音を徐々に変化させていき、やがて “guagua” になったようです。これらの国々では、バスに乗るのは単なる移動ではなく、人々と交流する場と捉えられています。
交通機関が企業の名前で呼ばれるのは珍しいことではなく、スペインのアルメリアでは今でもバスは “alsina” (現バス会社のALSA)、グラナダでは “autedia” と呼ばれています。
Colectivo
アルゼンチン、ウルグアイやパラグアイではバスは “colectivo” と呼ばれます。
1920年代の経済危機の中で、アルゼンチンのタクシーが複数の人を乗せて決まったルートを走るサービス(乗り合いタクシー)を始め、より多くに人を乗せるため大型の車両が使われるようになって、現在のバス “colectivo” になっていったそうです。
アルゼンチンのスラングで “colectivo” を “bondi” と呼ぶことがあります。これは、英語の”bond”(スペイン語では “bono”「回数券、定期券」の意味)から来ているそうで、ブラジルで運行していたイギリスの路面電車の企業がこの “bond” を使っていて、それがラ・プラタ川流域のスペイン語に入り、最初は路面電車を指すのに使われ、のちにバスに使われるようになったようです。
アルゼンチンのバス “colectivo” は独特の装飾が特徴で、タンゴやアサード(アルゼンチンの牛肉の焼肉)に並ぶアルゼンチンのシンボルです。
Camión
メキシコ以外のスペイン語話者にとっては、”camión” (「トラック」の意味)は大量の砂や木材、食料などを運ぶ大型車両を意味しますが、メキシコではバスを意味します。20世紀初め、メキシコでは人を運ぶために貨物トラックの車体や座席が改良され、現代的なデザインの人を乗せるための専用の車両になった今でも、人々はバスのことを “camión” と呼んでいます。バス自身のことを指すこともあれば、長距離の旅行を指すこともあるそうです。
Micro
チリ、ペルー、ボリビアではバスは “micro” の愛称で呼ばれています。チリでは、”micro” はシステムが近代化されるまではその色で有名でした。郊外や古い地区では小型バスのことを “liebre” と呼ぶこともあるそうです。
その他の呼び方
コロンビア、エクアドル、ベネズエラでは “buseta”と呼ばれています。コロンビアには山間部で使われているバスは “chiva” と呼ばれていて、文化的にも観光でもシンボル的な存在になっています。
今回はバスの呼び方を取り上げましたが、国や地域で呼び方が変わるものは他にもあります。
「この国や地域ではこう呼ぶんだな」といろいろな呼び方を楽しんでみてください













