なぜスペインでは年越しに12粒のブドウを食べる?
2020.12.31
年越しのときに食べるものといえば何が思い浮かびますか?
年越しそばを食べる人が多いでしょうか?
地域によっては、おせち料理を大晦日に食べるところもあるそうです。
日本の中でも地域によっていろいろですね。
スペインでは大晦日(Nochevieja)に12粒のブドウを食べます。
たいていは、家族での食事の後、テレビの前に集まって、
中継されるマドリードのプエルタ・デル・ソルの時計台の12時の鐘の音に合わせて、1粒ずつブドウを食べます。
鐘が鳴り終わった後は、新年をみんなで迎えられたことをハグやキス、乾杯で祝います。
12回の鐘に合わせて食べきると幸福が訪れると考えられています。
でも、なぜブドウを食べるのでしょうか?
この習慣の始まりについては、主に2つの説があります。
1つ目は、1909年にアリカンテでブドウが大豊作だったことから始まったとする説です。
この年、ブドウが大豊作だったため、ブドウの生産者がブドウを売り込むために
「大晦日にブドウを食べると幸運になる」というキャンペーンを行いました。
このキャンペーンが大当たりして、大晦日にブドウを食べる習慣が始まり、
大晦日用の12粒のブドウの入ったパッケージが売られるようになったそうです。
2つ目は、1909年以前から上流階級がブドウとシャンペンで年末年始を祝う習慣があったのが、一般的に広がったという説です。
1880年、スペインの上流階級ではフランスの習慣をまねてブドウとシャンペンで年末年始を祝うようになっていました。
これをマドリードの一般階級の人々がまねて、プエルタ・デル・ソルで大晦日に時計台の鐘の音を聞きながらブドウを食べ始めたのが始まりとされています。
上流階級への不満やあてつけもあったようです。
今では、12粒のブドウはなくてはならないスペインの年越しの行事になっています。
ブドウを1粒食べるごとに願い事をしたり、今年あったことに感謝するという人もいます。
簡単そうに見えますが、鐘の音に合わせてブドウを食べるのは案外難しく、
ブドウの皮と種を取っておくなど準備している人も多いようです。
挑戦する人は、喉につまらせないように気をつけてください!