スペイン語でも振り返ってみよう。即位礼正殿の儀
2019.10.24令和元年10月22日(火)13:00から皇居で執り行われた即位礼正殿の儀。天皇陛下の御即位にあたり、皇族の方々は平安時代に由来する装束に身を包まれ、大変厳かで優美な式典となりました。即位を祝うべく、世界各国の王族や要人たちも参列され、その中にはスペイン国王フェリペ6世夫妻の姿もありました。天皇陛下は外国語が堪能で、スペイン語も学ばれています。即位前から長年、スペイン国王フェリペ6世とは親交を結ばれており、その際はスペイン語を話されるそうです。これからも日本とスペインの絆がより深く、強いものになっていくことを願って止みません。
さて、古来の日本を想わせる雅な舞台となった即位礼正殿の儀ですが、早速スペインメディアでも報じられました。そこで日頃からスペイン語を学ぶ私たちとしては、今回の儀の重要単語がスペイン語ではどのように書かれるかを見ておきましょう。日本の伝統について、外国人に説明するときにも役立つはずです。
①Emperador Naruhito(徳仁天皇陛下)
②Emperatriz Masako(雅子皇后陛下)
Emperador, emperatrizは「皇帝」という訳もありますが、日本の皇室では「天皇・皇后」を意味しています。ところで、スペインにおいてはお名前の最後の字「-ito」がちょうどスペイン語でおなじみの縮小辞「-ito」と合致するので、すでに何度もスペインを訪れている天皇陛下を知るスペイン人たちは、親しみを込めて「Naruhito」と呼んでいます。
③Entronización(即位)
「trono」は王座のことなので、entronizaciónは王座の中に入る→即位を意味します。「即位礼正殿の儀」はla ceremonia de entronizaciónが適当な訳でしょう。今回の儀で天皇陛下が昇られた高御座(たかみくら)が、まさに即位を象徴する王座、trono imperialです(なんとその重量は8トン!)また皇后陛下が昇られたものは、形は似ていますが高御座より小さく、御帳台(みちょうだい)と呼ばれて区別されています。
④Tesoros Imperiales de Japón(三種の神器)
歴代天皇が継承し、即位礼正殿の儀にも用いられた神器。『古事記』『日本書紀』にも記され、天照大神の孫にして天皇の直系の神様とされる瓊瓊杵尊が、天照大神から授かったと伝えられています。La Espada Kusanagi(草薙劍)、Yasakani no Magatama(八尺瓊曲玉)、El Espejo de Yata(八咫鏡)の3つで構成されています。
⑤Palacio Imperial(皇居)
外国人にとって日本に来たときにこの単語はややこしいかもしれません。なぜならPalacio Imperial de Kioto(京都御所)とPalacio Imperial de Tokio(皇居)があるからです。京都御所は明治以前までの歴代天皇が暮らしていました。実は、即位礼正殿の儀は、天皇が東京へ移って以降も、大正と昭和天皇の即位においては京都御所で行われていました。だから俗に、京都人の気質を云う時に「天皇は東京に出張に行っているだけ(本当のお住まいは京都)」なんて言い回しがあったりします。外国人がこの話を聞いたら面白いでしょうね。
⑥Monarquía constitucional(立憲君主制)
日本は周知の通り、国民主権の立憲君主制です。現行憲法において天皇に国政に関与する権限はありません(象徴天皇制)。
もしスペイン語を使って、ゆくゆくは日本の伝統を紹介したり、観光業に就いたりしたいなと思っている人がいれば、今回紹介したような言葉も覚えて行きましょう。スペイン語で書かれた日本の歴史や日本文学作品ももちろん勉強になるのでおすすめです。