海辺のパエリア
2018.07.182018年7月17日 ABC GASTORONOMÍAより
夏とchiringuito(チリンギートと読む:露店や海辺のレストランの意味)、チリンギートとパエリア、夏の避暑地に必要不可欠な代名詞である。
スペイン人は無類の米好きで、実際にお米を使った料理も多い。とはいえ、スペインのガストロノミーにおけるお米料理の質はそれほど高くないのが現状で、改良の余地があるかもしれない。もちろん、一流のお米料理を出すレストランも存在する。しかし、本当に美味しいパエリアを出す店に出会えているかと聞かれると皆答えにつまる。スペイン東部のお米料理で有名な地域ですら、外食のレストランよりも家庭で出すパエリアの方が美味しいと認識されている程だ。ガストロノミーライターのジョセップ・プラの著書によると、「今まで沢山パエリアを食してきたが、バレンシアの家庭料理以上のプロフェッショナルなレストランが存在するかどうかは疑問である。」というキツイ一言を発している。
だが、夏のスペインの避暑地で、外国人観光客が海辺で注文する食事は「パエリア」であり、レストラン街で立ち並ぶテラスのテーブルに乗っかっているお皿も然りである。半分出気合いの、表面だけはオーブンでチンと焼かれたチェーン店のパエリアは、半生の粥のような食感だ。食用色素でパエリア色に染まった魚介類の混ぜごはん・・・悲惨である。しかし誰も何も文句を言わないし、気にもしない。ちょうどいい具とお米のバランスの、薪で炊かれたパエリアがテーブルの真ん中に置かれ、その鍋底にこびりつく香ばしいお米のことはもう、忘れた方がいい。夏の海辺のレストランは、お気軽に水着で入れてそれは楽しいだろう。
でも、できるだけ美味しい店を事前に調べて行く事をお勧めしたい。
最後に、美味しいパエリアの見分け方を伝授しよう。
まず、専用のパエリア鍋で薪の火で焚かれていること。お米は鍋にできるだけ薄く広げられてあり、うっすらとおこげが出来ていること。具とご飯が混ぜてあるなど言語道断である。海の具材よりもどちらかというと山の具材、肉と野菜の具材がしっくりくる場合がある。そしてどんなパエリアも出汁と具材の炒め方が決め手となる。