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ある大学教授の嘆き

2018.11.24

全世界で大学の低レベル化が進んでいるそうです。今の学生は昔の学生よりはるかに非力であるという話もたくさん耳にする昨今、大学進学率の上昇に紛れて何の意欲もないままに進学する学生が多いことも原因の1つではないでしょうか。単位を取るためだけなのか、講義を受けても問題意識が希薄で、私語だらけ。挙句の果てにはスマホをいじり出す始末・・・。

 

” Me cansé de pelear contra los celulares, contra WhatsApp. Me rindo. ”

 

ウルグアイ人のジャーナリスト兼学者で、ORTモンテビデオ大学でジャーナリズムの教鞭を取っていたレオナルド・ハバーコーン氏は、2016年この言葉を最後に大学を去って行った。1通の手紙を残して。Me cansé… Me rindo「もう疲れた、降参だ」と始まるこの手紙は、大学並びに学生に宛てたものであった。そして、いつしかその手紙がネット上で話題に出まわるようになる。

 

ハバーコーン氏はこう続けた。Después de muchos años, 「長年大学で講義を行ってきたが、学生の気力の無さにはうんざりだ」。そして、 Me cansé de pelear contra los celulares, contra WhatsApp y Facebook. Me ganaron. Me rindo. Tiro la toalla. 「授業中にWhatsApp(日本でいうLINE)や、FBを観覧するためにスマホを弄る学生を注意し続けることに疲れた。お手上げだ、諦めたよ」。そして、Me cansé de estar hablando de asuntos que a mí me apasionan ante muchachos que no pueden despegar la vista de un teléfono que no cesa de recibir selfies. 「私が熱意を持って説明する目前で、他人のセルフィーのチェックに余念のない、スマホ画面に釘付けの学生達には幻滅である」とも嘆いている。

 

その日の講義は、丁度ベネズエラの経済危機がテーマに上がっていた。20名中、唯一の学生がかろうじてこの件に関してわずかな知識があったが、その他の者は全く知りもしない。では質問を変えて、「現在シリアで何が起こっているか分かる者は?」シーン。「アメリカの民主党と共和党のどちらがよりリベラルか、それとも「左派」なのか?」シーン・・・。

 

悪いのは若者達ではない。生まれながらにして人間としての質や能力が無いわけでもない。彼らを取り巻く環境が、文化が、時代が、彼らの可能性を奪ってしまっているのだ。無気力で、無関心な現代の環境が若者をそうさせているのである。

 

彼はこうも語っている。「何事もどうせやるなら、思いっきりやるべきだ」と。授業の終わりを学生も私自身も望むような、そんな無意味な教育にはもう携われない、と。