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スペイン人とポルトガル人はどう違う?

2019.07.01

 

お隣同士のスペインとポルトガルの関係は、兄弟、いとこ、隣人、同僚、共犯者、同盟者など、さまざまな言葉で表されます。イベリア半島と歴史を共有する両国は似ているところが多いですが、スペインとポルトガルはすべて同じだ、とても似ている、と考えてしまうと間違うことがあります。違いがあるので一般化し過ぎると危険です。こういったテーマを扱うときは、つい自分の経験で判断してしまうので、人によって全く違う意見を持っていることがあります。さらに、間違った思い込みやステレオタイプもあるので、両国の関係を判断するのはなかなか難しいかもしれません。いろいろな面からスペイン人とポルトガル人の特徴を見てみましょう。

 

 

性格やあり方

まずは性格から。スペイン人は陽気で、ポルトガル人は悲観的だとよく言われますが、スペインが常にお祭り騒ぎをしているわけではないし、ポルトガルはいつもファド(fado:ポルトガルの民族歌謡、人生の歓びや悲しみ、哀愁を歌ったもの)を歌っているというわけでもありません。でも、とても違った特徴があります。スペイン人はより外向的で、おしゃべり好きで、声が大きく、表現が大げさで、カジュアルで、キスをしたがります。そして、感情を素直に表現します。一方、ポルトガル人は控えめで、口数が少なく、声も小さ目で、礼儀正しく、かしこまっています。礼儀正しさではポルトガル人が上。ポルトガルは肩書を重んじ、博士やエンジニアが多い国であり続けています。対するスペイン人は、túで話すことを好み、ustedで話されると腹を立てることすらあります。(túは親しい相手に、ustedは年上や初対面の人、仕事相手などフォーマルな場で使う。)

 

 

食事関係

生活の時間帯もスペインとポルトガルでは違います。ポルトガルとスペインには時差があるという理由のためだけではありません(ポルトガルはスペインより1時間遅れています)。昼の12時のスペインでは、たとえばトルティーヤ一切れとビールやトマトとオリーブオイルをつけたトーストを軽く食べたりします。でも、ポルトガルではこの時間には昼食のために食卓の準備を始めます。午後3時に昼ごはんを食べ、晩ごはんは夜10時というのはスペインの家庭では普通ですが、ポルトガルでは違います。

 

 

また、スペインでは仕事の後、晩ごはんまでに友達や仲間と一杯飲むことがよくありますが、ポルトガルではあまり一般的ではありません。でも、ポルトガルでもタパスとビールを楽しめる場所は増えてきています。食事と言えば、スペインもポルトガルも地中海料理ですが、いくつか違いがあります。特に食材の調理方法が違うのです。ここでも誤解を解消しておきましょう。ポルトガルではタラをよく食べますが、それだけを食べているわけではないですし、スペインでは揚げ物だけを食べているわけでも、毎日ピンチョスやラシオンを食べているわけでもありません。スペインでは、前菜、主菜、デザートを欠かしませんが、ポルトガルではすべてを一皿に盛って、そこにお米を欠かしません。

 

 

ポルトガル人はコーヒーではスペイン人の上を行きます。スペインでは、焙煎したコーヒーと砂糖と焙煎したコーヒーを混ぜたものが普通に飲まれている数少ない国です。ポルトガルではカフェソロやエスプレッソが文化の一部となっていて、日に2杯、3杯、4杯と飲むこともあります。食後はスペインのように食卓でコーヒーを飲むのではなく、家族みんなで近くのカフェにコーヒーを飲みに行く習慣があります。コーヒーの値段が平均0.6ユーロと安いのも手伝っています。

 

 

言語

さらにポルトガル人が上を行っているものに言語があります。ポルトガル語の音はスペイン語よりもずっと豊かなので、言語の学習となるとポルトガル人の方が優勢なようです。たとえば、ポルトガルでは、アニメ以外、ドラマや映画は映画館でもテレビでもオリジナル版で放映されています。スペインでは、ドラマや映画はほとんどスペイン語に吹き替えられています。確かにスペイン人の方が外国語に対しては消極的で、小さい頃から英語の授業を受けていても奇跡は起こりません。スペイン人の耳は外国語を聞くことにあまり慣れていないか、全く慣れていないと言えます。このスペインの問題はポルトガルで誇張されている傾向があります。よくポルトガルで言われるのは、「スペインでは”The Rolling Stones”や”Johnnie Walker”のことを”Piedras Rodadas”、”Juanito caminante”と言っている。」これは言い過ぎですね。また、多くの言語にあるように、スペイン語とポルトガル語には偽物の友達と言われるものがあります(同じ単語で意味が違う)。気をつけましょう。

 

 

子育て

子育てでもスペイン人とポルトガル人は違っています。ポルトガルでは、検診など必要なとき以外は、生まれて数週間までの赤ちゃんは外出させないようにという病院の指示にきちんと従っています。これに対して、スペインの医師は、寒くても暑くても赤ちゃんを毎日外気にあてることを勧めています。スペイン人のママは、ベビーカーや可愛い服を着せた赤ちゃんを人に見せるのが好きで、特に女の赤ちゃんの場合はその傾向が強いです。リボンやイヤリングは生まれたその日からしています。スペイン人は外にいるのが好きなので、子供もそうです。ポルトガル人は子供の生活の時間にもっと厳しく、細かいところもきちんとしています。ポルトガルでは天気のいい日に帽子をかぶっていない子供は見かけないし、海に行くときも9時に着いて12時には帰ります。スペイン人は何が子供にとって適切かは理解していますが、よりリラックスしていて、臨機応変で過保護ではありません。

 

 

時間に関する正確さ

時間を守ることに関しては、どちらの国もあまり得意ではないようです。でも、ポルトガルにはイベントの時間に関して独特の特徴があります。たとえば、招待状に「だいたい12時から」と書いてあるのです。これは一般的な習慣で、誰にも何時にそれが始まるのかわからないし、結婚式もそうなのです。

 

 

まとめると、スペイン人は自分に自信を持っていて、多くの点で自分たちが最高だと考えています。つまり前向きなのです。一方、ポルトガル人はないものねだりになりがちで、問題を嘆いたり、羨ましがったり、自分たちの良いところに気づかずに他人のことを気にしすぎたりします。スペイン人とポルトガル人を見るとおもしろい組み合わせになっています。なぜなら、一方にあり過ぎるものが、もう一方には不足しているから。お互いにギブアンドテイクできることがたくさんあります。そして、近くにいるからこそ学び合うこともたくさんあると言えます。