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いくつ知ってる?世界で活躍するスペインの企業

2019.06.30

それぞれの業界の有力企業にはスペインの企業がたくさんあります。スペインの企業と言うとZaraなどのブランドを持つIntidexを思い浮かべる人が多いでしょうか。chupa chupsのキャンディを思い出す人もいるかも知れません。それ以外にも、たとえば銀行や建設会社、電気会社など、スペインで生まれスペインに本拠を置きつつ、ヨーロッパや世界の舞台で活躍している企業があります。これらの企業は、国際的に有名な大学でケーススタディとして研究されたり、ビジネスモデルが競合相手に取り入れられたりしています。そのいくつかを見てみましょう。

 

 

サンタンデール銀行

1875年創業のスペイン最大手の商業銀行。一般銀行業以外にも小売銀行・商業銀行・投資銀行業務、資産管理サービスなどを展開。2017年6月には資金繰りに行き詰まったポプラール銀行を買収、議論を呼びました。アナ・ボティン会長は「採算性と効率」をモットーとして独自スタイルの方針を打ち出しています。

 

またグループ全体で顧客や金融業務のデジタル化を進めており、ボティン会長は「簡単で、パーソナルで公正」を合言葉に改革を推進中。国際送金アプリOne Pay FXなどユーザーの利便性の向上を目指しています。2018年の業績も好調でした。

 

 

ACS

マドリードに本部を置く総合建設大手(ゼネコン)。建設業界では常に上位を占めています。道路、空港、水道などのインフラプロジェクトで強さを見せ、資金調達から建設後の維持管理・運営など一貫したサービスを提供して、多角的に事業を展開。特に、交通インフラ整備で存在感を持っています。国際的な建設およびエンジニアリングで6年連続売上世界一を達成。同業他社にFerrovial、Técnicas Reunidasなどがあり、こちらも業界上位を占めています。

 

スペインの建設企業が国際市場で大きな力を持つようになったのは、スペイン国内での道路インフラ整備の経験があったためです。フランコ独裁下で道路整備を進める中で、資金調達から建設、運営のノウハウを蓄積。それを活かしてヨーロッパだけでなく、中南米や米国にも進出しています。

 

 

IBERDROLA

ビルバオに本社を置く電気最大手。再生可能エネルギー分野で活躍。José Ignacio Sánchez Galán社長率いる同社はヨーロッパで初めてクリーンエネルギー発電を開始、風力発電のリーダーとなっています。スペインの他、イギリス、米国、ポルトガル、中南米で発電や配電、電力取引や販売を展開。再生エネルギーによる約2万9,000メガワットの発電能力を持ち、2017年の売上は312億6,300万ユーロ。

 

 

INDITEX

スペインはアパレル業界で世界的に強く、その中でもガリシア州コルーニャのアルティショに本社を置くInditexは群を抜く存在です。Amancio Ortega Gaonaが1985年に設立。Zara、Bershka、Stradivarius、Oyshoなど多くのブランドを展開しています。成功事例はハーバード大によって研究され、多くのグループがそのビジネスモデルを取り入れようとしています。このモデルは15日ごとに新しい商品に入れ替える仕組みで、商品の多くはスペイン国外で生産されますが、一度スペインの物流センターに集められてから各店舗に届けられます。一見複雑に見える仕組みですが、このモデルに成功の鍵があります。アルティショの本社では、リアルタイムでどの店舗で何が売れているかを把握しています。これにより、さまざまな店舗の要望に素早く応えていきます。

 

 

同社は業界の革新でも先頭を切っており、工場を出てから顧客の手に渡るまで商品を追跡するRFIDというGPSに似た技術を最初に取り入れました。アパレルメーカーの中では世界で最も多くの店舗を持ち、93の市場に7,000以上の販売拠点を持っています。結婚式やパーティの服を探すためにZaraに行く人は多いのではないでしょうか。

 

 

EL CORTE INGLES

マドリードに本社を置く百貨店グループ。スペインに行ったことのある人なら一度は見かけるのではないでしょうか。ヨーロッパで最大、米国のMacy’s、Sears、Kohl’sに次いで世界第4位です。イギリスのMark& Spencer、フランスのGalerías Lafayetteがそれに続きます。

 

2017年度は、店舗全体で約6億7000万人が訪れました。多くの街の主要なショッピングエリアに店舗があるため、スペイン観光で訪れる人も多いようです。また、同社はスペイン最大の雇用者でもあり、91,000人の従業員の他、2万人のパートナーが店舗で働いています。仕入れの8割以上は国内の供給者から行っています。

 

 

MERCADONA

多くの場合、単純なやり方がうまくいきます。スーパー最大手のメルカドーナの場合、「顧客に最高の品質を最良の価格で提供する」というもの。言うのはたやすいですが、これを実行する方法を知っているのがメルカドーナの強みです。20年前、Juan Roigが両親から引き継いだ企業は、今日では国内外で活躍し、スペインで最も多くの収益を上げている企業の1つになっています。

 

 

1,600以上の店舗を持ち、市場の25%のシェアを獲得。スペイン人の10人に9人は少なくとも一度はメルカドーナで買い物をしている計算です。サイズではカルフールなどの多国籍スーパーにはかないませんが、アイデアでは負けません。Intidexと同様、独自のスタイルを持っています。それは、まず顧客を満足させ、次に従業員、供給者、そして社会を満足させるというもの。このスタイルは北米の大学の研究対象にもなっています。この順序によって最終的な結果が変わるのです。Intidexと同じく、何が失敗で、何がうまく行っているかを日々知るためのシステムを持ち、「常に何を改善できるか、どうすれば顧客により満足してもらえるかを考えている。」顧客の立場で常に改革を進めているのが強みと言えそうです。