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スペインの大学生、理系専攻は減少、人文系増加

2024.07.20

安定よりやりたい仕事

「何を勉強したいかはっきりしないなら、科学か工学を専攻したらいい。仕事の選択肢が広いから。

スペインでも大学の学部選びに悩む学生にこんなアドバイスがされることがありますが、だんだんと減りつつあるようです。

ここ25年間で、スペインでは工学と建築の専攻を希望する割合は17%減少、科学専攻は19%減少した一方で、人文系専攻は6%増加しました。

将来の職業を選択する際に、今の学生は仕事の選択肢の広さよりやりたい仕事を重視する傾向があります。たとえば、心理学やジャーナリズムは求人が少なく給料も低いことがありますが、それをやりたい学生は工学や数学には目もくれず、自分のやりたい学部や学科を選びます。

人口減でも増える大学進学者

学生の選ぶ専攻は変わりつつありますが、スペインの大学は若者を引きつけ続けており、人口が20%減少しているのにもかかわらず、進学者は34%増加しています。

スペインでは人口62万6千人あたり1つの大学がある状態で、OECD諸国の中で、アメリカ合衆国、オーストラリア、カナダ、イギリス、ポーランド、韓国とフランスに次いで、8位につけています。

これは1980年から2000年の間に国公立大学が急増し、同時に私立大学も増えたためで、2023年時点で国公立大学は50校、私立大学は43校あるそうです。

公立か私立か

1998年には大学生の約93%が公立に進学していましたが、現在では約75%が公立に進学しています。私立大学の数も増えましたが、公立を志望する学生が多いようです。

約80%の公立大学が平均学生数で私立大学を上回ります。たとえば、マドリード・コンプルテンセ大学(公立)の学生数は約5万4000人です。

在学期間は短め

他の国の学生に比べて大学在学期間は短めで、EUやOECD諸国の学生の平均卒業年齢が25歳を超えますが、スペインは24歳です。修士過程の場合は別で、スペインでは平均卒業年齢は30歳、EUとOECD諸国の学生の場合はそれぞれ25歳、27歳となっています。

スペインでは中退や専攻の変更は少なく、入学2年目で93%の学生が引き続き登録しており、その後3年間の過程を修了した時点の中退率は17%でした。これは、イギリス(15%)、イスラエル(15%)、アメリカ合衆国(15%)、スイス(12%)に続いて低い数字です。性別では、専攻や在学期間に関係なく中退は男子が多く、半分以上が男子でした。

外国人学生の割合など

スペインの大学の外国人学生の割合は、ヨーロッパ平均の6.4%よりも低い3.4%で、オーストラリア(21.9%)、イギリス(20.1%)などと比べるとかなり低い数字になっています。大学進学のための奨学金も他のUE諸国と比べて少なく、増額が望まれています。