マドリードの近未来的建築クアトロ・トーレス
2019.02.12スペインの首都マドリードには「クアトロ・トーレス(4つの塔)」と呼ばれている建物群があります。空中にそびえる巨大な4つの塔です。中にはさまざまな企業のオフィスが入っていて、マドリードの一大ビジネス地区を形成しています。大都会の中でも特に目を見張る近未来的建築物。2004年から建設が始まり2008年末〜2009年にかけて完成しました。
1. CESPAの塔(TORRE CEPSA)
高さ248mのCESPAの塔は、イギリスの建築家ノーマン・フォスターがデザインしました。CESPAはS.A.スペイン石油会社(Compañía Española de Petróleos)の略称で、ビルの最上階にこのロゴが掲げら最上階と塔飾りの間には風力発電塔が設置され、環境に配慮した設計がされています。地上から離れた高い空の上で風力発電というのは、実はこれまで決して実現しなかったアイデアなのです。
この塔はもともと「Torre Repsol」と名付けられていましたが、後に「Torre Caja Madrid」「Torre Bankia」と名を変え、現在は「Torre CEPSA」と呼ばれるに至っています。ややこしいので設計者の名をとって「フォスターの塔」と呼ぶ人もいます。
非常に高度のあるところにオフィスが入っていて、塔の屋上の高さはグアダラマ山脈のサン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルとほぼ同じ。この地点で吹く風の強さは地上のおよそ2倍。さらにこの建物では階によって最大で10℃もの温度差が発生するといいます。
「ジャンプリフト」タイプのエレベーターが設置され、時速は毎秒1.5階。
2.PWCの塔(TORRE PWC)
4つの塔のうち唯一スペインの建築家によって建設された塔です。5ツ星ホテル「ユーロスターズ マドリードタワー」が1階から31階までのエリアを占めています。豪華なパノラマビューを望めるレストランやスパがあります。安全対策として、塔の屋上は緊急用の照明を生み出すための小さな風力発電設備が備えられています。
31階から上はロンドンに本社のある巨大企業プライスウォーターハウスクーパースのオフィス担っています。
平面図は丸みを帯びた正三角形の美しい建築物。さらに上空から見ると塔の一部でもある2つの黒い半円を眺めることができます。
3.ガラスの塔(TORRE CRISTAL)
高さ249.5m、スペインで最も高い建物です。建築家はアメリカのシーザー・ペリ。クアラルンプールのペトロナスツインタワーを設計した人物です。この塔の円蓋には高さ30mと、ヨーロッパで最も高い垂直庭園があります。窓ガラスは青みのがかった色で、ダイヤモンドの形状をしています。なんとこの塔に使用されたガラスの総面積はサッカースタジアム6つ分に相当する44,000㎡。
完成当時から1つ目の塔CESPAと「どちらが高いか」という議論が行われていましたが、2014年高層ビル・都市居住協議会(CTBUH)によりガラスの塔の方が1mだけ高いという判定が下されました。
4.空間の塔(TORRE ESPACIO)
33階(地上から135m)にはカトリック礼拝堂があり、世界で最も標高のある礼拝堂の1つに数えられています。夜、地上からは礼拝堂の階に灯される緑色または赤色の光を見ることができ、それによってチャペルが開かれているか否かがわかります。同じく33階にはスペインで最も標高のあるレストラン「ESPACIO 33」があります。そして30階にはオランダ、オーストラリア、イギリスの大使館が入っています。
またこの塔にはスペイン国旗が飾られているのですが、それがまた世界一大きく、竿部分は16m、布地は30㎡もあります。地上の床の平面図は正方形ですが、数学理論(コサイン)に法って高くなるにつれて尖っていく設計。
最上階にはこの塔の所有者である政治家のJuan Miguel Villar Mirが住んでいます。