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エスコリアル修道院の伝説

2018.10.25

正式名王立サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアル修道院は、マドリード郊外の北西45kmに位置する、グアダラーマ山脈の麓の自然豊かな町にあります。この修道院は、フェリぺ2世の命令のもと、王家の墓所、広大な宮殿、修道院、博物館や図書館などを備えた複合施設として建てられ、スペインで最も重要なルネサンス期の建造物とも言われています。また、サン=カンタンの奪回勝利、その戦いでの死者への償いや、カトリック改革のための研究施設としても建てられたのでした。3人のイタリアとスペインの建築家、ホァン・バウティスタ・トレード、ファン・デ・エレーラ、ジョヴァンニ・バッティスタ・カステッロによって、21年もの月日をかけて建てられました。町にはその他にもSan Bernabé教会、王家の別荘やカルロス3世ロイヤルシアターなども見どころとなっています。実は、このエル・エスコリアル修道院には数々の逸話や伝説が存在します。今回は、この修道院の12のアネクドタ(anécdota)をご紹介致しましょう。

 

 

1.  地獄の門(Las puertas del infierno)・・・この修道院をエスコリアルに建てた訳は、実はこの地に地獄に通じる門があると言い伝えられており、その門を広大な修道院で蓋してしまえば、悪魔サタンが出てこないと信じられていたからである。

 

2.  焼き網(La parrilla)・・・修道院を上から眺めると、焼き網の形に見える。聖ロレンソが火あぶりで亡くなったことから、彼のオマージュとしてそのような設計になっている。

 

3.  黒い犬(El perro negro)・・・修道院を建設中のある時、毎晩黒い犬が現れて吠えるので労働者達が寝不足になり、工事の進みが遅れた。フェリペ2世が犬を捕まえて処分するよう命令し、その亡骸を長い間を縛っておいたそうである。この話にはおまけがあって、実際に王の友人ナバス公爵が立派な犬をお供に修道院建設現場を訪れた際、迷子になってしまい出てこなかったことから、このような逸話になったそうである。

 

4.  賢者の石(La piedra filosofal)・・・フェリペ2世は、錬金術を使って賢者の石を探すことに執着していた。彼の図書館には、魔術、占星術、秘薬などのありとあらゆる関連の本が並んでいた。また、錬金術を使って自身の健康にも気を使っていたそうである。

 

5.  秘密の部屋(La sala de los secretos)・・・修道院に住むほとんどの者がこの部屋の存在を知らない。飾りもない薄暗い小さなこの部屋は王妃の神殿をすぐ出口付近にある。この修道院の建築家の1人ファン・デ・エレーラは、この部屋を対角線上に置かれた部屋の真ん中に設け、部屋の主のお互いの声が響かないように工夫したのである。

 

 

 

6. マスターキー(La llave maestra)・・・修道院の住人にとっての七不思議は、自分たちが使う鍵は通常3回まわしたのに対して、王のそれは同じ扉でも1回まわすだけで開くことだったそうだ。

 

7.  裏切り者の宝(El tesoro del renegado)・・・ある時修道院の建設に関わっていた一人の労働者が、フェリぺ2世が建設費用を払わず、沢山のお金の入った袋を山へ持ち逃げしたものの、泥沼にその袋を落としあげくの果てに失踪してしまったという黒い噂を立てたことからこの逸話が存在する。

 

8.  幽霊王妃(Apariciones Reales)・・・フェリぺ2世の4人の王妃は、彼女達の死後も満月の夜に長い蝋燭をささげて、修道院の廊下を歩くと言われている。

 

9.  聖ロレンソの銅像(Estatua de San Lorenzo)・・・修道院の教会堂バシリカの入り口の上には、聖ロレンソの銅像がある。建築家ホァン・バウティスタによるものだが、花崗岩(御影石ともいう)で彫られた頭部と大理石で出来たその高さは約4メートル。そしてその像が向いている方角は宝の山と呼ばれる山だそうだ。

 

10. 丸天井(La bóveda veda plana)・・・修道院建設初期の丸天井にかかわっていた建築家が急死し、王はその弟子である代わりの建築家を呼んだ。新しい建築家は王を心から信用できず、丸天井の工事が終わった際に、石の色と模様に形取った厚紙で出来たウソの柱を丸天井の下に置き、王に見せた。しかしそれに気付かない王が、「丸天井をたった一本の柱で支えるとは何事か」と怒ると、エレーラがウソの柱を押し倒した。王は中に浮いたかのような丸天井を見上げて感嘆したという。それ以来王は、ファン・デ・エレーラに敬意を払うようになったという。

 

11. 金のレンガ(Los ladrillos de oro)・・・ある時、フランス大使がフェリぺ2世に「この世にはなんと仕上げが未完成の建物が多いことか、この大体的な修道院の建設を簡単に終わらせる方法を知っている」と豪語した。工事が終わった際に、フェリぺ2世は半球型ドーム型の教会堂よりも背の高い塔を金色に塗ったレンガ貼りの作らせその他にも2つ鐘つきの塔も作らせた。再度フランス大使が訪ねてきた時、王に塔がなぜあんなにも輝いて見えるのかを尋ねた。王は「工事が終わりかけの時、塔に貼るレンガが足りないことに気がついてそこらに余っていた黄金のレンガを貼り付けておいたのだ」と何食わぬ顔で答えたのであった。

 

12. 最後の石(La última piedra)・・・エスコリアルの「最後の石」を見つけるにはまず。王の中庭から広場に抜ける建物の屋根に埋め込まれた十字模様の切り石で、下からもすぐに発見することができる。

 

 

 

これらの逸話は数ある中のほんの1部です。サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアル修道院を知るためには、隅々まで建物を見ると良いでしょう。観光でマドリードへ行かれる際は、エスコリアルにも是非足を伸ばしてみて下さいね!