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スペインのお墓事情、日本との違いは?

2019.09.27

ようやく暑さもやわらぎ、秋らしさが感じられるようになりました。お彼岸やお盆にお墓参りをされた方も多いのではないでしょうか。お墓の周りを掃除して、お花を供え、故人をしのびながらお参りされたと思います。

 

スペインでは、11月1日の諸聖人の日(Día de Todos los Santos)にお墓参りをする習慣があります。この日は聖人と殉教者を祝う日で、家族でお墓を掃除してお花を供え、故人をしのびます。教会では特別なミサが行われ、お墓は色とりどりの花でいっぱいになります。お墓は、日本でもよく見られるような小さな区画にコンクリートの部屋を作ってその上に十字架と墓標を置いたタイプと、小さなスペースがたくさん団地のように並んでいるタイプがあります。墓標を置いたタイプには、大きな建物のようになっているものもあります。

 

諸聖人の日には、ブニュエロス・デ・ビエント(Buñuelos de viento)やウエソス・デ・サント(Huesos de santo)、パナジェッツ(Panallets)などの伝統的なお菓子が食べられます。食べるお菓子は地域によって違います。ちなみに、ペドロ・アルモドバル監督の映画「Volver(ボルベール<帰郷>)」は、主役を演じるペネロペ・クルスが諸聖人の日にお墓を掃除しているシーンで始まります。

 

お墓に関してスペインと日本で大きく違うのは、土葬か火葬かということでしょう。キリスト教では復活のために肉体が必要とされるため土葬が主流でしたが、スペインでもだんだんと火葬が増えています。葬儀会社の調査によると約4割が火葬で、火葬の割合がここ数年で急速に増えているそうです。火葬は都市部で多く、地方では伝統的な土葬がまだ多く行われています。日本では現在は火葬が主流で、その割合は99%を超えています。しかし法律で土葬が禁止されているわけではなく、できる地域や場所が限定されているそうです。

 

スペインの消費者団体の調査では、68%の人が火葬を望んでいて、土葬を望む人は18%。火葬を選んだ人の45%は遺灰を自然の中に撒いてほしいと考えています。一方、衛生面や環境面から遺灰の扱いをきちんと法律で規定してほしいという声も出ているようです。

 

環境面の影響を考えると、火葬は二酸化炭素の排出や遺灰の影響、土葬では腐敗によるバクテリアの発生や大きなスペースが必要になるなどのため、どちらも環境によいとはいえないようです。環境への負荷が少ないのは液体による処理だそうで、アメリカやカナダなどで行われています。