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メキシコの巨匠ギレルモ・デル・トロがハリウッド殿堂入り

2019.08.10

『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』、『シェイプ・オブ・ウォーター』など独特のファンタジー映画を手がけてきたメキシコを代表する映画監督の1人、ギレルモ・デル・トロ。彼の手によって生み出された奇妙な怪物たちは世界中のファンの心を鷲掴み(『パンズ・ラビリンス』のあの「手」とか……✋)最近ではメキシコで歴代の自身の作品に出てきた数々のクリーチャーたちを展示する「En casa con mis monstruos」を開催して、話題になっていました。

さてそんなデル・トロですが、このたびハリウッドの殿堂「ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム(スペイン語で Paseo de la fama de Hollywood)」に顕彰されることになりました!これはアメリカのハリウッド大通りの道沿いに、殿堂入りした映画監督の名前が刻まれた星型プレートが配置される、というもの。映画監督や俳優、歌手などハリウッド界の巨匠や、ディズニーのキャラクターなど、架空を含めて世界的に有名な人物が顕彰されています。

6日(火)に行われた顕彰式において、報道陣に囲まれたデル・トロはこんなスピーチ(英語)をしました。それは(人と違って)変人であること、そして自身を含めてメキシコ人移民に誇りをもつこと、アメリカ社会における多様性の重大さを強く訴えるものでした:

 

「まず最初に、私は変人である。本当に、心から願っているのは、こんな機会だ。変人になれること、変人に戻れること、どんなことにも「うんざり」と言えること、自分たちのやりたいものを深めることができること、私たちの魂を豊かにする何かを持ち続けながら」

 

「そして次にあなた方に知って欲しいのは、私がメキシコ人であるということだ。そして移民であるということだ。今私たちは恐れを抱いているが、その恐れは私たちを分断するために使われている。私たちは皆異なる方お互いを信用するなと言うために使われている。そうすることで私たちをよりたやすくコントロールし、物事を簡単に進めるためだ」

 

「けれども私たちはこれは完全な幻想であると気づかねばならない。もし誰かが私に『あなたは幻想の中に生きている』と言ってきたら、私はノーと答える。政治と教会は幻想の中だが、私はノーだ。私は魂から生まれたもの、物語に取り組んでいるのだ。そしてメキシコ人として、この星を受賞はひとつの振る舞いであり、これをもって凡庸な人間になることは決してない ……私たち(メキシコ系移民)について語る嘘を信じてはいけない」

 

ハリウッドの輝かしい誉を受賞する一方で、メキシコ系移民として分断されるアメリカ社会への警鐘を鳴らしたデル・トロ監督。この素晴らしいスピーチも見事でした。