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グランドキャニオンを発見したスペイン人

2019.11.30

グランドキャニオンといえばアメリカ合衆国の有名な観光地ですね。コロラド川に侵食されてできた全長約446キロ、深さは1600メートルに達する峡谷です。実は、この峡谷を発見して地図に載せたのはスペイン人なのです。

 

1540年、当時スペイン領だったこの地域で、探検家のFrancisco Vázquez Coronadoは黄金の町のあるシボラ(Cíbola)という国を探して探索を開始しました。探索隊に加わっていたのは340人のスペイン人と数百人の現地のインディオ、そして家畜。エストレマドゥーラ出身のGarcía López de Cárdenasも参加していました。一団は当時のコンポステーラ(Compostela、現在のメキシコのハリスコ(Jalisco))を出発、アリゾナ、ヌエボ・メヒコ(Nuevo México)を通過していきました。途中、黄金の町には川があると現地人からの情報を得たVázquez Coronadoは、García López de Cárdenasにその川を見つけて、80日以内に戻って報告するようにと命じたのです。

 

García López de Cárdenasは他の12人とともに探索を開始。20日に渡って砂漠のような地を歩き続けてようやくその川、コロラド川を見つけました。しかし、思っていたようなものではなかったのです。遠くから見たときは小川のようだったのが、近づいてみれば川岸は切り立っていて険しく、川に下りようとしても下りていく場所がありません。水を求めて何度も下りようとしたもののうまく行かず断念し、その地を後にしました。彼らは、この地を”gran barranca”(大峡谷)と名付けました。そして、彼らが大峡谷を発見したと言われる場所は、現在ではデザートビューポイントとして知られる展望台になっています。

 

コロラド川と大峡谷を発見したとき、García López de Cárdenas達はどんな気持ちだったのでしょうか。発見した喜び、水が飲めない絶望感、黄金の国の見つからない焦り。García López de Cárdenasは後に探索中に42歳の若さで命を落としています。アメリカ合衆国のスペイン領だった地域にはたくさんのスペイン語の地名が残っています。その由来や歴史を知るのも興味深そうです。