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アルタミラの洞窟壁画

2018.07.14

アルタミラ壁画は、スペイン北部カンタブリア州のサンタンデールから西へ30kmほどの、サンティリャーナ・デル・マルという町近郊の洞窟にある。1879年に発見されて以来、ユネスコの世界遺産に登録されている。この壁画は、先史ヨーロッパ時代でいうマドレーヌ期(約18,000年 〜10,000年前)と呼ばれる旧石器時代末期に、洞窟の岩肌に牛、馬、イノシシやトナカイなどの動物が描かれたもので、発見当初はそのあまりの完成度の高さに、旧石器時代の壁画とは気付かれなかったそうである。またこの壁画は、ソリュトレ期に属する約18,500年前頃のものとマドレーヌ期前期頃の約16,500年前~14,000年前頃のものに分かれている。長年の観光化による影響でずいぶん痛みが酷くなってきたため、現在洞窟は閉鎖中だが、隣接する博物館で本物と見まごう程のレプリカ作品を見ることができる。

 

一言に壁画、と言っても顔料の素材は何なのか、何故このようなダイナミックな絵を描こうとしたのか、辿ってみるとなかなか謎が深い。一般的に、絵画は赤色と黄色の黄土、赤鉄鉱、二酸化マンガン、炭で描かれているそうだ。身近な素材で、自分達の生活と密にある動物達を精巧に表現できるセンスと技術を持ち得た祖先に思いを馳せてみると何だかワクワクさえしてくる。そして、この壁画は当時の人たちにとっての鑑賞用ではなく、おそらく宗教的儀式や、歌や踊りなどの表現の1部として使われていたのである。