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スペインのマンハッタン!?ベニドルム(Benidorm)

2019.08.28

 

バレンシア州のアリカンテにある、地中海に面したベニドルム。高層ビルが立ち並ぶ街の様子から、「スペインのマンハッタン」と呼ばれることも。一見するとスペインとは思えないほどです。そして、特にイギリスやオランダからの観光客に人気の場所になっています。なぜベニドルムは他の街と違うのでしょうか。

 

もともとベニドルムは漁業や農業を中心とした町でした。フランコ体制時代、町長のペドロ・サラゴサがベニドルムを観光都市にしようと計画を練り、マドリードまで行ってフランコに直談判したのです。

 

「ベニドルムのモデルは本当にパイオニア的存在で、すべての町の未来のモデルとも言えるもので、当時としては画期的だった。そして、スペイン国内より海外から評価されている。」と都市環境の専門家。なぜ建物を高くする選択をしたかについては、「建物の底面積を広くするとどの街でも見られるような住宅街になるが、底面積を小さくすると建物の高さは高くなり、日当たりが保たれ、緑地や駐車場、プールなどを設置することができる。昔はビーチの見える場所はお金持ちだけのものだったが、今ではどの建物からも海を見ることができる」

 

土地の使用率が低いこと、私的な交通手段の利用が少ないこと、町のどこからでも歩いて10分程でビーチに行けることなどから、ベニドルムのモデルは持続可能なモデルと考える専門家もいます。

 

見た目には持続可能とは思えないベニドルムですが、多くのスペースやエネルギーを消費し、道路や交通機関を必要とするゴルフ場のある、過度に近代化された他のビーチのある観光都市よりもずっとエコな町と言えます。さらに、ベニドルムには夏だけでなく、一年中観光客が訪れるため、資源や土地をより有効に利用しているとも言えます。

 

また、ベニドルムは都市環境を守るための多くの規制が設けられている町でもあるのです。たとえば、建物は近接させて建てることはできず、空間を設けるように定められています。このため、どこからでもビーチを見ることができるのです。建物が林立しているように見えますが、他の大都市のように建物は密集していません。畑のスペースや将来の拡張のためのスペースが守られているのです。

 

摩天楼はベニドルムのシンボル的な存在。中でも一番高い建物「Intempo」は47階建ての192 m。大きいM字型で表面が金色のこの建物は目を引きます。2番目に高いのが「Gran Hotel Bali」で52階建ての186 m。建物は上層階に向かって幅が狭くなる形になっています。他にも「Torre Lúgano 」(158 m、43階建て)、「Neguri Gane」 (145 m、43階建て) などの高層ビルがあります。

 

高層ビルがほどよい間隔で建てられたベニドルム。遠くから見るとビルが密集しているように見えますが、実際には空間と緑が多い町です。スペインで変わった町を訪れたいと思ったら、ベニドルムはいかがですか。