スペインの皮革産業の歴史はローマ時代から始まり、皮は、生活用品から戦いの軍需品まで多種多様に加工されて使われていました。以前、こちら でもスペインと神戸の靴産業について触れましたが、神戸に負けず劣らず、スペインのカディス県のウブリケ(Ubrique)という町も皮革産業が盛んな町です。ウブリケの皮革産業の歴史は、初めはローマ時代、アラブ時代にさらに発展します。ウブリケでは、スペインの数々の有名ブランドの皮革製品が生産されています。そしてあまり知られていませんが、スペインのみならず世界の価値あるブランドの皮革製品もこちらで作られていることが多いのです。現在、ウブリケで製品を提携している企業は約6,000社。毎年630万ユーロもの皮革製品を海外に輸出しています。
工房が290ヶ所もあるウブリケの町は、ヨーロッパの屈指の皮革産業メッカとも言え、その取引相手先国はフランス、イギリス、イタリアを筆頭に世界の様々な国です。住民は16,766人しかいませんが、ほとんどが何らかの形で皮革産業に関わっています。むしろ、そうでない家庭を見つけるのが難しいほどで、皮革職人はその付近の町も含めて延べ6,000人もいるそうです。
ウブリケといえば革、革といえばウブリケ。しかもオリジナルの素朴な皮革小物からロエベ、シャネル、ディオール、ジバンシーやカルティエなどあらゆる有名ブランドの革製品が、実はこの町で作られている訳です。ただ、2004年にスペインを襲った大不況は、この町にも打撃を与えたそうで(のちの2012年にも再度スペイン経済危機も )ブランド品が売れなくなり、生産の場を賃金の安い他国にに移す企業が増えた為、ウブリケでも半数が失職する事態に陥りもしました。
現在は、観光地としても有名なウブリケ。白い村として知られる町中には、革製品の小売店はもちろんのこと歴史博物館やローマ時代の都市遺跡もあります。スペインのアンダルシア地方へ旅される方は、ぜひウブリケも訪れてみて下さい。