オリーブオイルの効能については、以前 こちら でもご紹介致しましたが、実はスペインで、ひまわり油もオリーブオイルに続いて大変需要の高い油です。ひまわりの原産地は北アメリカ大陸西部ですが、その昔は食用だけでなく、衣料と身体用の染め粉や化粧品として使われていました。乾燥肌に効果的で、全身に使える万能美容オイルとして重宝されていたそうです。そして16世紀、スペイン人がその種を持ち帰り、マドリード植物園で観賞用として栽培され始めました。18世紀頃、圧搾機の開発とともにひまわりはさらに庶民の身近なものとなっていったのです。
その後、ヨーロッパで進化を遂げたひまわりは、再び北アメリカ大陸へ里帰りするも今度は家畜の餌という格下げの扱いになり、それがしばらく続きます。20世紀初頭、カナダ政府がひまわりの栽培プログラムを組み、開発を始めたことにより商業化することに成功したおかげで、1970年代には分子交雑により高い油質と病気への抵抗性を獲得しました。そしてさらにヨーロッパに逆輸入されてその消費量は増進していったのでした。
ひまわりの種を口の中で器用に割るスペイン人
スペインでも特に若者は、街を歩きながらひまわりの種を食べていることがあります。種を舌で縦に置いて、カリッと歯で割ると同時に種を舌の上に乗せて、口から殻はプッと道に吐き捨てポリポリと齧ります。その様子は日本人にとって大変器用に映りますが、真似をしようともなかなかすぐに出来るものではありません。そういう訳で、スペインでは特に若者が集まる広場や公園、道端などに大量のひまわりの殻が落ちている風景を目にするのです。また、ひまわりの種の殻は、塩味、バーベキュー味、メキシカン味などのフレーバーがついているものが人気です。また、殻をむくのが面倒くさがりさんのために、殻無しのひまわりの種も売られています。ビールのあてにも、もってこいのひまわりの種です。
ひまわり油の効能
スペインで、調理の際にひまわり油はオリーブオイルの次によく使われます。スーパーマーケットでよく売られているお菓子、ケーキ、パン類やあるいはソースから離乳食まで、意外とひまわり油の需要は高いのです。そしてバルやレストランなどのフライ物は、実は大半がひまわり油で揚げられています。もちろん、高級レストランやこだわりのあるお店などは違いますが、コストや油の質の面からしてもひまわり油は長所が多いのです。例えば、質の悪い安価なオリーブオイルはかえって人間の健康を害すことがあります。その点ひまわり油は、豊富な不飽和脂肪酸やビタミンEの成分が抗酸化の働きをしてくれます。オレイン酸をたくさん含むタイプのものを選ぶと、なおさら酸化に強いです。あと、これは全ての油に共通することですが、油は焦がすとどんなものでも体に良くないので、適温で調理することが非常に重要です。留学などでスペインやラテンアメリカ滞在時、天ぷらが食べたくなって自分で作る時にも、ひまわり油で揚げてみると、日本のそれに近い仕上がりになります。