スペインは、イタリア、中国に続いて多くの世界遺産を有する国です。
2023年4月現在でスペインの世界遺産の数は49で、そのうちの17はアンダルシア州にあります。
アンダルシア州は世界遺産の宝庫といえますが、その中でもコルドバは4つの世界遺産を持つ世界唯一の街として注目されています。
かつてアラブによって支配され、レコンキスタによって奪還された歴史を持つコルドバ。 街のあちこちにアラブ文化の足跡が残っています。
では、コルドバの4つの世界遺産を見ていきましょう。
1. メスキータ(Mezquita – Catedral de Córdoba)
コルドバといえばメスキータを思い浮かべる人が多いと思います。
メスキータは「モスク」を意味するスペイン語です。1984年に世界遺産として登録され、1994年には歴史地区全体が世界遺産になりました。
メスキータは786年に後ウマイヤ朝のアブド・アッラフマーン1世によって最初の部分が建設されました。以降、アブド・アッラフマーン2世、アルハケム2世、アル=マンスールによって増築拡張が行われました。1236年にレコンキスタによってコルドバが奪還されるとキリスト教の教会として使用されるようになり、1489年には中央礼拝堂が設置され、イスラム教のモスクの中にキリスト教の礼拝堂が存在するという珍しい建物になりました。 馬蹄形の850本の柱がならぶ景色の迫力は圧巻です。
2. 歴史地区(Casco histórico de Córdoba)
1994年、メスキータを含めて歴史地区全体が世界遺産として登録されました。ヨーロッパ最大の歴史地区の一つです。
歴史地区の中でメスキータに並んで有名なのがローマ橋です。ローマ橋はスペインにたくさんありますが、ただのローマ橋ではありません。コルドバのローマ橋は2000年近く市街地への唯一のアクセスでした。コルドバに住んでいた歴史上の偉大な人物、たとえば、メスキータを建設したアラブの王たちやスペインのカトリック両王、詩人のロルカなどもこの橋を渡ったのです。そう考えると感慨深いですね。
他にも、ローマ時代やイスラム統治時代、レコンキスタ以降のそれぞれの歴史を感じさせる足跡が多くみられます。
3. パティオ祭(Fiesta de los Patios Cordobeses )
コルドバのパティオ祭りは2012年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。
パティオ祭りは1921年から行われている中庭(パティオ)の美しさを競うコンクールで、例年5月の第2週から第3週にかけて行われ、多くの人が美しいパティオを見るためにコルドバを訪れます。
アンティーク建築部門とモダン建築部門の2つのカテゴリで行われ、上位入賞者には賞金が出ます。
毎年参加して入賞するパティオも多いそうです。
お花やガーデニング、建築に興味のある方にはおすすめです。パティオ祭り以外の期間でも見学できるパティオもありますし、ちらっとのぞくだけでも楽しそうです。
4. メディナ・アサーラ(Medina Azahara)
2018年と比較的最近に世界遺産に登録されたので、まだあまり知られていないかもしれません。
メディナ・アサーラはコルドバの中心地から約7キロのシエラ・モレナの麓にあり、ザフラー宮殿とも言われます。
“Medina Azahara”はアラビア語で「輝かしい街(ciudad brillante)」を意味しているそうです。
「輝かしい街」という名の通り、宮殿というより宮殿都市というべきもので、936年にアブド・アッラフマーン3世の命によって建設されました。王室に近い人のみが住むことが許されたと言われます。しかし、華やかな街は長くは続かず、争いが起こり、1010年から1013年の間に破壊されました。
そして、1911年から専門家による遺跡の発掘が開始され、2018年に世界遺産に登録されました。
コルドバに行かれたら、是非4つの世界遺産を訪れてみてください!