トルティーヤ・デ・パタタス(スペイン風オムレツ)といえば、スペインの名物料理の1つです。どんなバルにもたいていありますし、家庭でもよく作られます。
作り方は簡単で、オリーブオイルでジャガイモを揚げ焼きして、溶き卵に混ぜてフライパンで焼くのですが、ここで大きな問題があります。
それは、玉ねぎを入れるか、入れないか。
スペイン人の中でも、玉ねぎを入れる派と入れない派に分かれ、よく議論のテーマになります。
シンプルにジャガイモだけを入れるがいいと言う人、
玉ねぎも入れた方が旨味が増していいと言う人、
さらに、どっちでもいい人、他の材料も入れる人など、
いろいろ意見は分かれるようです。
日常的に食べるトルティーヤ・デ・パタタスだからこそ、熱い議論のテーマになるのでしょう。
トルティーヤ・デ・パタタスが作られるようになったのは何世紀も前のことと言われていますが、
料理の本に書かれたレシピとして初めて登場したのは1854年だそうです。
1867年のパリ万博ではスペインレストランのメニューに登場しています。
また、1817年のナバラ議会に宛てられた手紙で当時の農民の苦しい状況が説明されており、
「一家の主婦は2つか3つの卵にジャガイモやパン、他のものを混ぜてオムレツにして
5、6人のお腹を満たす方法を知っている」という記述があるそうです。
食べるものが少なかったときに、お腹いっぱい食べられるように工夫したところから
生まれたのがトルティーヤ・デ・パタタスだったのかもしれません。
他にもたくさんのエピソードがあり、どれがトルティーヤ・デ・パタタスの本当の起源なのか、
オリジナルのレシピに玉ねぎが使われていたのかどうかはわからないようです。
最近、ラ・コルーニャのベタンソスで毎年行われる有名なトルティーヤ・デ・パタタスのコンクールで
玉ねぎの使用が禁止されたことも玉ねぎ論争を熱くしています。
玉ねぎを入れるか、入れないかの熱い議論に終わりはなさそうですが、
これからもスペインの人はトルティーヤ・デ・パタタスを食べ続けていくこと、
そして玉ねぎを入れても入れなくてもどちらでも美味しいことはみんな意見が一致しているそうです。
さて、皆さんは玉ねぎ入り、玉ねぎなしのどちらが好きですか?