スペインの夏は日差しがきついので、歩くときはサングラスが欲しくなるかもしれません。
湿気は少ないので日陰に入ると涼しく感じます。
暑い日差しが家の中に入らないように、スペインの家の窓にはたいてい鎧戸(persiana)がついていて、バルコニーにも日よけ(toldo)がついています。
その日よけの色がなぜかほとんどが緑色なのです。
たとえば、マドリードを歩くとスペインの国旗をよく見かけますし、バルセロナならカタルーニャの旗をよく見かけますが、バルコニーの日よけの色はどちらの街でも多くが緑色です。スペインに行ったことがある人なら、緑の日よけに気づいたかもしれないですね。
緑色の日よけが使われるようになったのは、1960年代から80年代の集合住宅の建築ブームの頃だそうです。スペインの統計庁のデータによると1970年から1981年の間に年平均40万件の住宅が建てられました。そして、その多くのバルコニーに緑色の日よけが採用されました。
この建築ブームはちょうど地方から都市部への引っ越しブームと重なっていました。当初、日よけの色は緑、青、オレンジの3色の選択肢がありましたが、緑色が一番好まれて使われたそうです。オレンジは目がチカチカするから避けられたようで、緑は自然を思わせるので好まれたようです。
多くの建物で緑の日よけが使われるようになると、新しい建物にも近隣の建物との調和で緑の日よけが使われるようになりました。日よけが壊れて交換することになっても、他のバルコニーの日よけが緑なので、それと合わせて緑色にすることになり、緑の日よけが現在でも多いという結果になっています。
緑は建物に使われるレンガの色とも合い、自然や健康、落ち着きなどを連想させ、冷たい感じでも暑い感じでもないことから好まれたとも考えられています。
スペイン北部は雨が多く、夏もさほど暑くないので、この緑色の日よけはあまり見られません。
もしスペインに行くことがあれば、是非バルコニーの日よけの色にも注目してみてください!
(緑色ではありませんが、日よけはこんな感じのものです)