以前にスペインの縁起の悪い迷信を紹介したので、今回は縁起のいい迷信を紹介していきます。
まつ毛やうさぎの足、蹄鉄にまつわる迷信など、日本人に面白く思えるものもあります。知っているものはいくつあるでしょうか?
・木に触る(Tocar madera)
この迷信は広くいろいろな国で少しずつ形を変えて信じられています。たとえば、ある地域では、木には妖精が住んでいて、1回目は願い事を伝えるため、2回目は感謝を伝えるために、木を合計2回たたくと幸運が訪れると考えられています。別の地域では、木をたたくと、そこに閉じ込められている善良な妖精の目を覚まし、解放することができると考えられています。カシの木には神の魂が宿っていると考えられている地域もあります。
また、キリストの十字架に触れることはキリストの庇護を求めることを意味したことから、木に触れることが神の庇護を受けることを意味するようになったという説もあります。日本にも神が宿る御神木があるので、そこに通じるものがあるようにも思えます。
・四つ葉のクローバーを見つける(Encontrar un trébol de cuatro hojas)
聖書の伝説によると、エバが楽園から追放されたときに持っていたのが四つ葉だったことから、四つ葉は幸運をもたらすと信じられるようになったようです。また、四葉の形が十字架の形に似ているからという説もあります。日本でも四つ葉は縁起がいいとされていますが、海外から入った迷信のようですね。皆さんも小さいとき1度くらい、『四つ葉のクローバー』を探したことありませんか?
・まつ毛が一本抜ける(Una pestaña caída)
昔、悪魔はまつ毛を集めていると信じられていました。そのため、まつ毛が抜けると悪いことが起こると恐れられ、まつ毛が抜けたときは手のひらにのせて肩の上に投げるか、鼻の上に置いて息で吹き飛ばすと悪運を避けられるとされていたそうです。現在では、まつ毛を吹き飛ばすときに願い事をすると叶うと信じられています。
・蹄鉄をドアの裏にかける(Colgar una herradura detrás de la puerta)
昔、ギリシアの人々は半月の形をした鉄は呪いから守ってくれると信じていて、魔女や悪を遠ざけるために蹄鉄を家の入り口に置いていました。半月の形をしたものは他にもあるのになぜ蹄鉄なのかと言うと、蹄鉄には7つの穴が空いていて、数字の「7」が不思議な力を持つ縁起のいい数字と信じられていたからだそうです。ラッキーセブンはここから来た・・・?!
・ロウソクを一息で消す(Apagar las velas de un soplido)
中世のドイツで誕生日ケーキに年齢の数のロウソクを立てるというアイデアが誕生。今までに生きた年数プラス1本のロウソクを立て、プラス1本のロウソクはこれから生きる年の幸運を象徴するものと考えられていました。そこから一息で吹き消すと幸運が訪れる、となったようです。誕生日ケーキに立てたロウソクを1息で消そうとしてしまうのは何ででしょうね。笑
・うさぎの足を持つ(Llevar una pata de conejo)
この迷信の歴史は古く、紀元前7世紀頃には存在していたそう。古代のケルト人はすでに当時いくつもの迷信を信じていて、そのうちの1つがこのうさぎの足に関するものでした。うさぎは地面に穴を掘って暮らすので、神や死者の国と接触できる存在として人間を守ってくれると考えられていたそうです。そこから、うさぎの毛皮や肉、骨が珍重されるようになったようです。特に「足」がお守りとして使われるようになった理由ははっきりしませんが、16世紀頃の文章にうさぎの足をお守りとして使うという記載があるそう。また、うさぎはたくさん子供を産むことから、「子孫繁栄」の意味もあるそうです。
・指を交差させる(Cruzar los dedos)
この迷信の歴史も古く、紀元前までさかのぼります。当時、2人で人差し指を交差させて、お互いの願いを言って、その願いが叶うようにお互い助け合うことを誓ったことに由来しています。また、古くから十字の形は完璧な形で、交差している部分に善良な精神が宿ると考えられていました。現在では、片手の人差し指と中指を交差させると縁起がいいとされています。
いかがでしたか?迷信を知っていると、スペインの人たちの何気ない仕草や言葉が理解できることがあるかもしれません。まだまだ迷信はあるので由来を調べてみるとおもしろいと思います!スペインに行って不思議な迷信に出会ったら、ぜひ由来を聞いてみてください。日本の迷信のことも教えてあげれば、会話が盛り上がること間違いなしです!