2018年12月11日 Expansión Web記事より
今年ロンドンで行われ、世界22ケ国が参加した「ワールドステーキ・チャレンジ2018」にて優勝したフィンランド牛が、スペインのクエンカのあるレストランでサービスされている。フィンランドの極端とも言える気温差が牧草の香りと栄養をぎゅっと閉じ込め、しっかりと牛達の血となり肉となるのであろう。このフィンランド牛が、大会で世界1美味しいと評価された最上級の牛肉が、クエンカのタランコンにあるレストランで味わえるのだ。食文化のグローバル化は計り知れず、予期せぬことが起こる可能性をたくさん秘めている。ガストロノミーにおける素敵な誤算。誰がスペインにいながらにして、フィンランドの牛肉に舌鼓みを打つことを想像しただろうか?スカンジナビアはスコットランド南西のエアーシア地方の牛は、気候がら年間を通して日照時間が少ないゆったり自由な放し飼いの恵まれた環境の中で育つ為、スペインの牛と違って脂身まで柔らかな良質の肉牛が育ちやすいのである。
エミリオ・ロリエンテ。スペインでの食肉業界で知らない者はいない程の人物である。大手スーパーマーケットMercadona(メルカドーナ)の最大仕入れ業者であり、年に36.000トンもの生ハムやソーセージ、腸詰めなどを生産している Incarlopsa(インカルロプサ)社の代表である。その彼が、カスティージャ・ラ・マンチャ州クエンカ県の、同社が構える屠殺場の近くにEssentia(エッセンティア)なるレストランを友人に託してオープンするが、あいにく彼には商才がなく経営に行き詰まってしまう。その後エミリオは店を再建させ、現在は娘が管理しているという。このレストラン、いわゆるミシュランで星を獲得するような店とは一風異なっている。例えば、純度の高い逆浸透水でグラスを一点の曇りもなく磨きあげたり、150種類ものワインを貯蔵したりとかなりのこだわりを見せており、他とは一線を画しているのだ。このレストランでは、例の優勝肉はもちろんスペインでステーキといえば豚肉というほどの、一度食べたら忘れられないほど美味で厳選されたイベリコ豚や生ハム、ありとあらゆる種類のEmbutidos(腸詰め)を提供している。またエミリオ自身が自宅で開くホームパーティで使うレシピの料理などもあるという。フィンランド牛を30日〜60日熟成させた格別な味のステーキを一度味わってみたいものだ。