第65回ベルリン国際映画祭で日本人初となる『アウディ短編賞』を受賞したフランス在住の映像作家 瀬戸桃子氏による、3枚の写真と2つのビデオ上映 (5mプロジェクションとバーチャル・リアリティ) で構成される展示・上映会『From Σ to ∞ = PLANET M』が、スペイン・マドリードのMichel Soskine Incで開催中です。期間は2020年1月18日まで。
タイトルの『From Σ to ∞ = PLANET M』は、気候変動により人類が滅亡した地球のその後について描かれています。接写技術というマクロレンズを使い細密に表現しています。
ロッテルダム映画祭、ロカルノ映画祭等で上映された「プラネット A」(2008年)、ベルリン映画祭短編部門正式出品作となった「プラネット Z」(2011年) に続く「プラネット」シリーズの第3作目の『プラネット Σ (シグマ)』(2014年) は、”氷に閉ざされた星で地下火山が噴火し、解凍された昆虫の体内で菌とカビだけが成長し新たな生命が始まる”。この作品で瀬戸氏は第65回ベルリン国際映画祭短編部門にて、斬新な作品に贈られる『アウディ短編映画賞』を受賞し、2017年には東京の森美術館コレクションにも追加されています。
約6分間のバーチャル・リアリティ『プラネット ∞ (インフィニティ)』では、”荒廃した世界で巨大な乾燥した昆虫の体内に真菌とカビだけが生育し、天候が変化すると雨は乾燥した惑星に水を与え潤し次第に洪水を引き起こす。そして水の中では肉食性オタマジャクシが生息する生態系が生まれる”というストーリーです。この作品はBest VR賞など10以上の賞を受賞しています。
先週マドリードで開催されたCOP25(国連気候変動会議)で注目されていたのがスウェーデン出身のグレタさん。彼女の活動や彼女が発信する地球温暖化についての考え・現状にも注目が集まりました。瀬戸氏を初めとする多くのアーティストもまた自らの作品により警鐘を与えています。
日本から参加した小泉環境大臣のスピーチに日本国内はもちろん世界からも様々な意見があがりました。日本ってこうなんだ…それで今後は?と思った方が多いのではないでしょうか。
今後50年で世界はどう変わるのでしょうか。瀬戸氏の作品から伝えたい彼女の考えは何か読み解きながら見るとさらに面白いと思います。今一度自分にできることを改めて考えるきっかけになる展示会です。