平日の火曜日午後6時頃、ヨーロッパの国々ではこの時間帯みんな何をして過ごしているのでしょうか?スペイン人は仕事中でしょうか?ドイツ、イギリス、スイス、フランス、フィンランディア・・・その他の国々の人達は?
2018年9月26日 EL PAÍS Web記事より
欧州統計局によると、一般的にスペイン人は20時頃まで仕事をしていることが多いようです。スペイン労働時間合理化国家委員会( la Comisión Nacional para la Racionalización de los Horarios en España)が設立されたのも働き方を改善する必要性を訴えてのことらしいですが、今後も問題は抱えていくのでしょう。しかし、スペイン人が午後20時に退社するのなら他の国は何時に退社しているのでしょうか。
スペインに住むスペイン人(Un español en España)
スペイン労働時間合理化国家委員会は長年、午前と午後の労働時間を挟む長い休憩に異議を訴えています。午前中の仕事を終え、昼食の為に一旦仕事場から家に戻るスタイルが現在も続いていることを懸念しています。
さて、平日の火曜日午後6時にスペイン人(社会人)はどこで何をしているかというと、まさに仕事中、労働時間内にあたります。他のヨーロッパ例えばドイツ、フランス、イギリスなどと比べると労働拘束時間に大きな違いがあり、近年働き方改革を起こすための様々な動きが出ているそうです。仕事の効率を上げて拘束時間を少なくすることによって、例えば家族団欒の時間を長くしたり自分の趣味に時間をかければ、つまり自由時間が増えれば人生の質も上がるであろうという思考になりつつあるのです。
実際2016年にラホイ政府は、「我が国スペインでも退社時間を20時から18時に変更しよう」なるアイデアを打ち出し選挙に臨んでいました。また、独特の勤務時間や営業時間を持つスペインやポルトガル、イタリアなどはEU傘下でありながら異端児のような存在になりつつあったことが原因の1つとも言えるはずです。この国以外のヨーロッパ圏の人たちにとって、スペインの1日のスケジュールには違和感が否めないそうです。
例)Gonzalo García(ゴンサロ・ガルシア)さんの場合。彼は現在30歳の会社員。彼の1日のスケジュール(Horario)は、まず朝9時に出勤して午前中に30分のブレイクタイムを取り、仕事場に戻って午後15時まで働く。2時間のお昼休憩を挟んだあと、17時に仕事場へ再度戻り、19時半に退社する。この2時間の休憩は義務的なもので、決して労働側が望んでいるものではないとゴンサロさんは言います。実際は、30分ほどで昼食を切り上げて18時退社をしたいというのが本音だそうです。
スペインに住むスイス人(Un sueco en España)
例)Tom Kalleneさんの場合。スペイン在住。「Hoy por hoy’」というラジオのパーソナリティをしている彼は、カタルーニャ出身の奥さんと結婚されてから30年ほどスペインに住んでいるそうですが、未だにスイスで過ごした時代の食事タイムの習慣が抜けないそうです。彼曰く、「テレビのニュースが始まる19:30から夕食を始めるけど絶対それ以降は遅くなることはない」そうです。だからと言って彼は母国へ帰りたい訳でもなく、ただ自分の習慣を貫いているだけだと説明しています。そして「夜遅く食事を摂っているスペインの人たちは見るに忍びない」とも。
オランダに住むスペイン人(Un español en Holanda)
大体の人は趣味にいそしんだり、家で夕食の用意や就寝に向けての準備をしながら過ごすそうです。アムステルダムやロッテルダムのような都会では、店舗などは21時頃まで開いていますが、その他は全て18時で閉まります。冬季は特に、家でのおこもり生活中心になるそうです。
例)Laura Navarroさんはアムステルダム在住の26歳のスペイン人女性。アムステルダムの多国籍事務所勤務。フレキシブル勤務の事務所では朝9時から働き、20分の昼食休憩を終えて17時に退社します。彼女はスペインの「2時間の昼食休憩」を思い出すとやるせなくなるそうです。「ただ拘束時間が長いだけで、仕事の効率は良くないはず。やるべきことをきちんと終えて私は17時に退社するのがいい」と。
フィンランドに住むスペイン人(Un español en Finlandia)
フィンランドでは午後18時はちょうど夕食が終わる頃。ベッドに入るつもりもないけれど、毎日自分の時間を持てることが普通らしく、仕事は16:30に終了、家に帰ったら食事の用意をして子供たちと遊んだり、映画館へ行った、ジムに行ったり出来るとのこと。 しかし、少なくとも22:30〜23:00の間には就寝につくそうです。そして多くの人が朝6時には起床しているのが普通です。
例)Beatriz Ramírezさんは、現在29歳。4年前からヘルシンキの日産自動車でマーケティング部門で働いています。スケジュールを自分で自在に決めることができるフレキシブル勤務の彼女は、午前7時から10時までに出勤するといいます。また、スペインで友人と待ち合わせて過ごしたことを懐かしく思うといいます。なぜなら、フィンランドでは気候が極端なため、自由にいつでも誰にでも会えるというわけにはいかないからだそうです。また、フィンランドに来て驚いたことは、この国の人はスポーツ愛好家でベジタリアンも多く、たとえお肉を食べるとしても週に1度にするなど健康志向が高いのだそうです。
フランスに住むスペイン人(Un español en Francia)
フランスでも大体18時〜19:00は勤め人の退社時間と重なるようです。パリでは夕食は20時前後、遅くとも21時までには済ませ、23時までには就寝して7時起床です。
例)Ángel Luís de la Iglesiaパリ歴13年のスペイン人特派員。パリとスペインとの時差1時間を常に念頭に入れて常に仕事をしています。19時には夕食前の食前酒など一杯やったり、それぞれの用事を済ませてから家路につくことが多いようです。
ドイツに住むスペイン人(Un español en Alemania)
例)Ángel Luís de la Iglesiaさんはマドリード出身の41歳。デュッセルドルフ在住歴5年。彼はこの国の1日のスケジュールの時間帯の違いに驚いたと言います。ドイツの昼食は大体12:30頃が主流です。彼にはドイツの食事時間帯がとても合うそうで、夕食が早いことも胃がこなれていく時間が就寝時間まであることがとても気に入っているそうです。
スペインとロシアに住むロシア人(Una rusa en Rusia y España)
例)Mijail Smyshlyaevさんの場合。新聞記者の彼女は、モスクワ出身の35歳。20年程前からスペインのバレンシアとモスクワを行ったり来たりしています。その為か2国の生活習慣を受け入れながら暮らしています。外食が盛んでないロシアでは、通常仕事帰りには家に直帰して夕食をとるのがスタンダードとされています。その後テレビ鑑賞したり、ゆっくり過ごします。スペインの好きなところは?の問いに、「バレンシアの気候。1992年に来て以来、家まで構えているのはそれが理由よ」と。
スペインに住むイギリス人(Un Inglés en España)
例)Ian Powellさんの場合は、リバプール出身の58歳。スペインへは11年前から英語教師として住んでいる。そして未だにスペインの時間帯に馴染めずにいると言います。長い休憩時間にも納得いかず、それさえなければ、もっと早く退社でき、早く家に帰れるのにといつも思うそうです。でもスペインの自由な空気は大好きだそうで、母国よりスペインでの滞在を選ぶIanさんです。
例)イタリアに住むSalvatore Valastroさんの場合はどうでしょうか。午後18時は丁度スーパーで買い物している時間だと言います。食前酒代わりに一杯やっていくこともある彼は、19時半から20時頃までには夕食を済ませるそうです。でもこれはイタリア北部の話しで、南部だと少し遅くなるらしいです。勤務スタイルはやはり朝早く出かけて17時〜18時までには終わらせるのが良いとのことです。
午後18時〜19時はおやつタイム
皆様は平日の火曜日午後18時頃どこで何をしていることが多いですか?スペインでは、住む地域や各家庭にもよりますが、大体午後18時〜19時がおやつタイムとなっています。働いていれば、ちょっとコーヒーブレイクしようかなとか、子供や年配の方ならお昼ご飯が済んだ約3時間後に「そろそろおやつでも・・」となるわけです。町のカフェやバルにも人が増える時間帯で、中心街などは特に賑やかな様子を見せています。おやつは甘いものはもちろん、小さなサンドイッチやフルーツ、クッキーなどあまりお腹が一杯にならない程度に、夜ご飯のことも考えながらスペイン人はちゃんと調整しているようです。とはいえ、おやつタイムは午前中にも1度あるので、1日三食プラス2回のおやつがスペインには存在することになります。実はこの時間帯にスーパーマーケットに行く人も少なくありませんが、お腹が空いた状態で買い物をすると、ついボリュームのあるスペイン風ドーナツRosquilla(ロスキージャ)、道端で売っているchurros(チューロス)やPalomita(ポップコーン)などを買ってしまったりして、肥満の原因にもなりかねません。しかし、楽しそうにおやつタイムを過ごすスペイン人を見るとこちらまで思わず食欲が刺激されてしまいます!