日本では地下街は珍しくないですね。地下鉄とともにお店の立ち並ぶ地下街があるのは日本にはよくある風景です。
スペインには日本のようなショッピングのできる地下街はほとんどありませんが、何キロもある地下通路を持つ町や村があります。地下の洞窟をつないだような通路は、当時の住居だったり、ワインの貯蔵庫であったりと、建築的、文化的な意味やワイン作りとのつながりを持っています。地下は湿度が一定でワインの醸造・貯蔵に適しているのだそうです。
こういった地下通路は主にカスティーリャ・イ・レオンに多く見られますが、他にもバレンシアやシウダー・レアル、ラ・リオハなどにもあります。
そのいくつかを見ていきましょう。
ブルゴス(Burgos)
カスティーリャ・イ・レオン州のブルゴス県はスペイン北部に位置し、昔から交通の要所になっています。サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の道の主要なルートが通っており、ブルゴスの大聖堂は有名です。
ブルゴスには地下通路のある町が多くあります。たとえばアランダ・デ・ドゥエロには135ヶ所の地下のワインのボデガ(ワイン醸造所・貯蔵庫)が残っており、7キロの地下通路網が形成されています。地下通路は12世紀から18世紀にかけて建設され、湿度が一定になるように9メートルから12メートルの深さに作られています。
グミエル・デ・メルカドにも地下の洞窟があり、多くが今でも使われています。バドコンデス、サスナル、ソティジョ・デ・ラ・リベラにも地下の洞窟が残り、ボデガとして使われています。見学できるところもあります。
ソリア(Soria)
カスティーリャ・イ・レオン州のソリア県にも地下通路が残っています。たとえば、サン・エステバン・デ・ゴルマスには289の地下のボデガがあり、200年以上の歴史を持つものもありますが、あまり知られていません。すぐ近くのアタウタにもたくさんの地下のボデガが残っています。地下のボデガを見学したり、ワインのテイスティングができるところもあります。
サモラ(Zamora)
同じくサモラ県にも地下のボデガが多くあります。たとえば、フェルモセジェには何千ものボデガがある村として有名です。中には10世紀に遡るものもあります。ボデガ同士は通路でつながっています。
エル・ペルディゴンには、2階建て、3階建て構造の地下のボデガがあります。地質的に通路を掘るのが容易だったため、このような構造になったようです。町の中心から外れたところにあり、3つの地区に分かれ200ほどのボデガがつながっています。現在では多くにレストランがあり、週末の観光地になっています。
バジャドリード(Valladolid)
バジャドリード県のムニシエンテスには16世紀から17世紀のボデガがあります。2020年には人の手によって掘られた地下ボデガのある地区、クアルト・デ・サン・ペドロの修復プロジェクトで賞を受賞しています。修復された地下のボデガには、教育スペースや公演スペースが設けられています。
地下のボデガで見学やワインのテイスティングをするのも楽しそうですね。
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