国際的なスポーツの試合では、勝ったチームの国の国歌が流れることがありますね。
勝ったチームの選手は国歌を口ずさみながら勝利の喜びをかみしめる・・・
でもスペインの選手は国歌が流れても歌いません。
歌えない、というのが正確でしょう。歌詞がないからです。
サンマリノと同様、スペインは国歌に歌詞がないという珍しい国の一つです。
何度か歌詞をつけようという動きは何度かありましたが、
今日に至るまで歌詞が公式に採用されることはありませんでした。
スペインの国歌の起源は軍隊の行進曲(la Marcha Granadera)で作者は不明です。
1770年9月にカルロス三世がこの曲を『名誉の行進曲(Marcha de Honor)』としたことから
国歌として使われるようになったそうです。
歌詞をつけようとする試みは何度か行われました。
たとえば、1870年にプリム将軍が歌詞を公募しましたが、
応募作に適当なものがないとして歌詞は採用されませんでした。
アルフォンソ13世の時代にはエドゥアルド・マルキナ(Eduardo Marquina)による歌詞がつけられましたが、
公式にはなりませんでした。
また、プリモ・デ・リベラの独裁政権下では詩人のホセ・マリア・ペラン(José Maria Pemán)が歌詞を担当し、
多くの行事で採用されましたが、国家的なものにはならなかったようです。
さらに2007年にもスペイン政府やオリンピック委員会によって歌詞をつけようという動きがありましたが、
うまくいきませんでした。
文化や言語が多様なスペインで国民の合意を得た歌詞をつけるのは難しいのかも知れません。