スペインでもバナナが生産されていることをご存知ですか?
よく食べる果物としておなじみのバナナですが、スペインのカナリア諸島ではバナナ、いや、プラタノが生産されています。スペインではバナナ(banana)とプラタノ(plátano)は区別されていて、果物の売り場でも別々に売られています。そして、プラタノの方が値段は少し高い傾向があります。スペインでは、国産、つまりカナリア諸島産のバナナはプラタノ、他の国のものはバナナと呼ばれています。(国によって区別の仕方が違うようです。)
バナナとプラタノの栽培は東南アジアが起源で、マダガスカル経由でアフリカに伝わり、6世紀頃に地中海沿岸に伝わりました。それが、カナリア諸島にも伝わって栽培が始まりました。その後、スペイン人がバナナを持って中南米に渡ったので、中南米にも広がっていったようです。
では、バナナとプラタノはどう違うのでしょうか?
見た目では、プラタノの方が少しずんぐりむっくりで、バナナは大きくてスリムな感じです。そして、プラタノの方が熟すとバナナより茶色の斑点が多く出るようです。
食感にも違いがあります。バナナはプラタノより水分が少なく粉っぽい感じで、プラタノはより甘く水分が多くジューシーで、実が詰まっていて重たい感じだそうです。プラタノは生で食べますが、バナナはイモのように調理して食べる場合もあります。
栄養分は、プラタノはバナナよりビタミンA、B2、B6が豊富で、カリウムやリンなども多めです。カルシウムやデンプンはバナナの方が多いそうです。
また、バナナの生産の多くは多国籍企業によって他国からコントロールされていますが、カナリア諸島のプラタノは小規模な生産者によって丁寧に栽培されています。6つの島で合計8,224件の生産者が9,100ヘクタールで栽培を行っています。
さらにカナリア諸島のプラタノはヨーロッパの生産物であるため、植物の保護や環境、食の安全などに関するEUのさまざまな基準に従って生産されており、その基準はエクアドルやコロンビア、ドミニカ共和国などバナナの主な産地より厳しいものです。カナリア諸島産のプラタノは2013年に「保護地理的表示」(Indicación Geográfica Protegida (IGP))を許されています。これは、原産地の風土に起因するすぐれた性質や特徴を持つ農産物などに与えられるもので、認定には栽培条件などに関する厳しい要件を満たす必要があります。カナリア諸島産のプラタノには “Plátano de Canarias”と入った青地にバナナの絵が書かれたシールが貼られています。
さて、バナナとプラタノのいろいろな違いを見てきましたが、味の違いは食べてみないとわかりませんね。機会があれば、是非食べ比べてみてください!