“Ser la oveja negra”という表現を聞いたことはありますか?
ovejaは「羊」なので、oveja negraは「黒い羊」ですね。
羊といえば、たいていの人は白い羊を思い浮かべると思います。
黒い羊は珍しい、変わっている、というイメージがあるのではないでしょうか。
まさに“ser la oveja negra”は「(他の人と)違っている人、変わり者、変わった人」という意味で、他の人と考え方が違ったり、みんなと同じように行動しなかったりする人に使われます。
たとえば、“Eres la oveja negra de la familia.”は「あなたは家族の中の変わり者だ」という意味になります。
どちらかといえばネガティブな意味で使われることが多いですが、最近では、「他の人と変わった考え方や行動ができるのはいいことだ」と考える人も増えてきているので、ポジティブな意味で使われることもあるかもしれません。
黒い羊にネガティブなイメージがあるのは、白い羊の毛は何色でも染められて重宝されるのに対して、黒い羊の毛は他の色にはできないので嫌われるところから来ているという説があります。人間の都合で嫌われる黒い羊はかわいそうな気もします・・・
さて、世界で一番貧しい大統領として有名なウルグアイの元大統領のホセ・ムヒカ氏を取り上げた本の題名が“Una oveja negra al poder”(『悪役 世界絵いちばん貧しい大統領の本音』)でした。
ホセ・ムヒカ氏は、若いときから当時の独裁政治に反対する政治活動を続け、ゲリラ活動によって投獄された経験を持つ人物ですが、2010年にウルグアイ第40代大統領となりました。大統領になっても、質素な家に住み続け、服装も質素なまま、古い車に乗り続け、給料の大半は寄付するなど、他の大統領とはかなりちがっていました。まさに“oveja negra”ですが、彼の豊かさについての考え方にはなるほどと思う人も多いと思います。
“Eres la oveja negra.”と言われたら、どう反応しますか?
喜びますか、それとも怒りますか?