新しい「ローコスト」AVE(Alta Velocidad Española:スペイン高速鉄道)の車輌のお披露目が12月11日にトレドの工場で行われました。紫色の車体に水色とオレンジ色のラインが入ったデザインで、名前は『AVLO』。2020年4月6日からマドリード・バルセロナ間で運行を開始予定で、切符は2020年1月末から販売されます。
スペインのAVE市場は2020年末から自由化される予定で、すでにフランスのSNCF(フランス国鉄)とイタリアのILSA(イタリアの旅客列車運行会社トレニタリアとスペインの航空会社エア・ノストラムによる合弁企業)の2社の参入が決まっています。これにより、RENFE(スペイン国鉄)は厳しい競争にさらされることになり、品質向上とコスト削減を進めていかなければならない状況に置かれています。今回のAVLO投入には、新規参入の2社が運行を開始する前に先手を打って顧客を掴みたいRENFEの思惑もあるようです。
新型のAVLOには、これまでのAVEにあった一等席(preferente)もカフェテリアもありません。その分、運賃は抑えられ座席数も増えるので、移動の費用を抑えたい旅行者や家族連れなどには嬉しい選択肢になるでしょう。気になる運賃ですが、今の所はっきりした金額は発表されていません。
昨年のRENFEの全サービスの利用者は最高の5億1100万人に達し、そのうち2200万人がAVEの利用者でした。鉄道の利用が増えているのは、気候変動などの環境問題への意識が高まっていることが反映されているのかもしれません。
今後AVLOは他のAVEの路線でも運行されていく予定で、さらに収容人数の多い車輌が導入されていくようです。2021年からはフランスとイタリアの会社によるサービスも開始されます。RENFEもフランスやイタリアへの進出の機会を狙っているようです。
来年以降スペインへ行かれる方は、AVLOやフランス、イタリアの電車を見たり、利用することになるかもしれませんね。車輌やサービス、乗り心地など、いろいろ観察してみてください。