モアイ像で有名なイースター島はチリの沖合約4000キロにある絶海の孤島です。現地語ではラパ・ヌイ、スペイン語ではIsla de Pascua(パスクア島)と呼ばれています。島を守っているようにも見えるモアイ像ですが、何のために、どのようにして作られたのかなど、多くが謎に包まれています。
2019年の考古学誌に発表された研究結果によると、その謎の一部の解明に一歩近づいたようです。考古学者と土壌の専門家が協力して、島の採石場ラノ・ララクの2体のモアイ像を調査。採石場の土壌を詳しく調べたところ、バナナやタロイモ、さつまいもなどの食料の痕跡が見られたそうです。採石場は石を掘り出してモアイ像を作る場であっただけでなく、肥沃な農地でもあったようです。
島の他の場所の土地は急速に痩せて侵食されていきましたが、採石場の土地は作物が育つのに必要な水分や栄養分が豊富だったこともわかりました。これは、モアイ像の建築のために石を削り出すことで、水が染み出し、削られた石の成分が肥料の役割を果たしたのだと考えられるといいます。
島ではモアイ像が肥沃さを生み出すと考えられていました。採石場にはたくさんの直立したモアイ像が残されていますが、どこかに運ばれるはずだったわけではなく、採石場の神聖な自然を守るためにそこに置かれた可能性があるそうです。モアイ像は肥沃さの象徴で、その存在が農産物の生産を向上させると考えられていたのでしょうか。
モアイ像を作るための採石などの作業自体が土地を肥沃にしていた可能性があり、人々はモアイ像が土地を肥沃にすると考えたのかもしれません。島全体を肥沃にするために、たくさんの像を作って運んだのでしょうか。まだまだ謎は多く、研究者の謎の解明のための研究は続いています。