皆様は、セルジオ・レオーネ映画監督をご存知ですか?1960年代『荒野の用心棒』を始めとするマカロニ・ウェスタンブームの火付け役で、彼の作品は世界中で大ヒットしました。映画の舞台はアメリカ西部の設定ですが、実際はスペインの各地で撮影されていたのです。やがて時代が過ぎ、セルジオ監督映画の熱烈な有志達が再び、かつて「サッドヒル」と呼ばれた撮影用の墓地に木の墓標を3000本以上立てた墓地を再現しようと、クラウドファウンディングで収益を集めているそうです。因みに、表題の「El bueno, el feo y el malo」は和訳だと「善玉、卑劣漢、悪玉」となります。
2018年10月18日 ABCWeb記事より
マカロニ・ウェスタンといえば、クリント・イーストウッドのテンガロンハットにポンチョ、口元の咥え細葉巻と右手には連発拳銃。 ドル箱三部作と呼ばれた「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン」は、地中海に面するアルメリアで撮影されたとスペインの多くの人が思っているのだが、実は、場面によってはマドリードの山あいであったり、特に、El bueno, el feo y el malo「続・夕陽のガンマン」はブルゴスで撮影されている。
例えば、ブルゴスのサンペドロ・デ・ アルランサ修道院は「続・夕陽のガンマン」の中でサン・アントニオ病院として登場し、アルランサ川は、リオ・グランデという設定になっている。映画の中で、南北戦争真っただ中のアメリカの荒野をうまく表現する為に、撮影の場は厳選されている。そして最後の決闘シーン、クリント・イーストウッドがマントをはらりとさせたのを合図に、相手2人と視線を外さないまま後ずさりし、トライアングルになるという西武劇マニアなら大好きなシーンがある。その舞台はまさに「サッドヒル・セメンタリー」と呼ばれる墓地の真ん中だ。
映画「サッドヒルを掘り返せ」
映画「サッドヒルを掘り返せ」は2017年、ギレルモ・デ・オリベイラ監督が発表し、第30回東京国際映画祭の出品作品でもある、マカロニ・ウェスタンの撮影に使われたサッドヒル墓地についてのドキュメンタリー映画です。クリント・イーストウッド主演の「続・夕陽のガンマン」(1966)で、クライマックスの決闘シーンの撮影に使われながらもそのまま放置されていたサッドヒル墓地に、当時のロケセットを再現しようと試みる有志たちを追った内容となっています。ヘビィメタルバンド「メタリカ」の歌で始まるという意表をついたオープニングから、最後には辻褄のあうストーリー仕立てになっているこの映画は、一見の価値があります。監督はまず、2013年から2014年にかけて、セルジオ監督映画の熱烈なファン達が管理する「サッドヒル・カルチャー・アソシエーション」に連絡を取って、舞台再現のプロジェクトを徐々に進めていきます。また2016年の映画創立50周年を迎えるにあたり、4,000人のファンの集会を行ったり、後援会員として、15ユーロ払えば誰でも墓標に名前を入れてもらえるというユニークな案を打ち出したのです。後援会キャンペーンは現在も、約5000もの墓標に到達するまで続く予定です。日本では、2019年春公開予定。