スペインのご家庭を訪問したことがある方ならわかると思いますが、お邪魔するとインテリアがめちゃくちゃ凝っていて、その人流にとても素敵な空間にしているところが多いです。壁の色も白だけでなく赤や青など個室に配色したり、ちょっとした物入れなどもヴィンテージ風で、はっと目につくような存在感があったり、色あざやかな絵画や置物でセンス良くデコレーションされていたり……etc。スペインでは親しい人を家に呼び合う習慣があるので、日常的に人に見せるための空間を意識しているのです。だからホームステイの醍醐味は、こうしたスペイン人たちのおしゃれな日常生活の中に溶け込めるというのもありますね。
ところで日本では、年末に大掃除をするという習慣が昔からありますね(皆さま、お疲れ様でした!)。でも、スペインを含めた欧米諸国では、年末に特に家をピカピカにしようという習慣はありません。長期で家を空けるバカンス前には掃除に力を入れる人も多いですが、ただしそれも国民的習慣として定着している訳ではありません。それでは彼らはどんな風に掃除をして、素敵な空間を保っているのでしょうか?
日本でも掃除の好き嫌いややり方の差はあって、週末に時間をかけてまとめてやる人や、平日からこまめにやる人など様々ですよね。スペイン人は上の通り、気軽に親しい人を自宅に招く習慣があるので、こまめに掃除をしている人が多いのです。そしてなんといっても「土足文化」であることが大きく影響しています。外で履いた靴でそのまま家の中で過ごすので、日本人の感覚からしたら「え?」となりますが、その分だけこまめにモップをかけたり掃除機をかけたりしています。もちろん泥だらけの靴で家の中に上がるなんてこともないですし、「汚れているなあ」と思ったらパパッと拭いたり片付けたりしています。空間の綺麗さを大切にするので、目につくものはさっさと掃除してしまうのです。このため、スペイン人からしたら、日本人は家では靴を脱ぐけれど、床掃除はたまにしかしていない、なんてもし聞いたら向こうも「え?」となります。
また床=地面なので、彼らは家のフローリングでも物を置いたりしません。だから床がとっちらかっている、ということはあまり起こり得ないという訳ですね。
スペイン人の家への愛情はお宅訪問するとわかります。そしておおよそ家を綺麗に磨き上げている人にとって、掃除とは苦ではなく大切な日常生活の一部なのです。