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ニューヨークで活躍したスペイン人建築家

ニューヨークで360もの建物の建築に携わったスペイン人建築家がいたことをご存知ですか?ニューヨークだけでなく、ボストンやバルチモア、ワシントン、フィラデルフィア、さらにカナダやキューバでも多くの建物の建築の責任者を務めた人物です。彼の名は、バレンシア出身のラファエル・ガスタビーノ(Rafael Guastavino)です。

 

1881年、彼は個人的な事情から息子を連れてニューヨークに渡りました。その事情がキャリアに悪影響を与えるのを恐れて渡米を決意したようです。アメリカでは1871年と1872年にシカゴとボストンで大火災があり、多くの命と建物が失われました。この火災のため、当時主流だった木材を用いた建築の安全性に疑問が投げかけられ、建築史上の重要な時期を迎えていたところでした。

 

そこにガスタビーノが地中海地方の建築で古くから用いられていた、レンガを用いた軽量かつ丈夫で、工期が短く、耐火性のある構法という解決策を持ってやってきたのです。彼の耐火性の構法のおかげで多くの人の命が救われたと言われています。

 

ニューヨークのセントラルステーション、その近くにあるオイスターバー、ニューヨーク大聖堂、コロンビア大学、ボストン図書館などが代表な作品ですが、彼が手がけた建物は360にものぼるため、ニューヨークの街を歩けば彼の建物を必ず目にすると言えるほどです。彼が1908年に66歳で亡くなった時、ニューヨークタイムズは彼を『ニューヨークの建築家』と呼びました。

 

しかし、これほどニューヨークで活躍したのにも関わらず、スペインのマスコミではほとんど取り上げられることはありませんでした。バレンシアで生まれてから1881年にニューヨークに渡るまで、スペインのマスコミが彼を取り上げた記事はたったの6つ。2016年にEva Vizcarraがドキュメンタリーでガスタビーノを取り上げ、カンヌコーポレートメディア&TV大賞で金のイルカ賞を受賞したことでグスタビーノという人物がようやく以前より注目されるようになりました。

 

ガスタビーノは66歳で亡くなりましたが、もっと長生きしていたらどんな建物を手がけたのでしょうか。もし彼がスペインに残っていたら、スペインの建築は変わっていたのかもしれません。

 

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