“bacalao”は魚のタラのこと。白身の魚で日本でもよく食べられていますね。
スペインやポルトガルでも塩漬けの干しダラが食べられています。
日持ちして値段も手頃なので庶民の食材として食べられているようです。
“el que corta el bacalao”の文字通りの意味は「タラを切る人」ですが、
実は「ある状況や場所を仕切る人、判断したり指示を出したりする人」という意味があります。
“cortar el bacalao”で「仕切る」という意味になります。
“cortar”は動詞なので主語によって活用します。
実際にその場を動かす力を持ち、仕切っている人のことを”el(o la) que corta el bacalao”と言います。役職についている人が仕切っていることもありますし、別に仕切る人がいる場合もあります。
この表現の由来にはいくつかの説があります。
1つ目の説は、スペインの家庭が由来とするもの。
スペインで食料が不足していたスペイン内戦後、タラは値段が安く家庭でよく食べられていました。家庭の中で力を持っていたのは父親で、すべての決定を行う存在でした。食事のときも父親がタラを切り分けて家族に分配していたところからこの表現が生まれたと考えられています。
2つ目は、スペインの植民地が由来とする説。
塩漬けの干しダラは保存がきき、輸送も簡単で安価だったので、ヨーロッパからアメリカにも運ばれました。植民地の労働者として働いていた人々が一日の終りに長い列を作って監督者が切り分ける食事の干しダラを受け取ったことがこの表現の起源と考える人もいます。
3つ目は、お店が由来とする説。
昔、スペインの食料品店ではお客さんがタラを買いに来ると、店の主人が切り分けていたことからこの表現ができたとする説です。
新しい会社や組織に入るときは仕切っている人を知っておくことが重要なのはスペインも日本も同じようです。
例文)
Antonio es el entrenador, pero aquí el que corta el bacalao es Juan.
アントニオは監督だが、ここで仕切っているのはフアンだ。
No puedo decir mucho sobre ese tema. Debes preguntarle a Ana, que es la que corta el bacalao.
そのテーマについて私はあまり言うことはない。アナに聞いて。彼女が仕切っているから。
En esta empresa yo no soy quien corta el bacalao
この会社では私は仕切る人ではない。