スペインには１７の州（comunidad autónoma）があり、５０の県（provincia）があります。
アフリカにも2つの自治都市（ciudad autónoma）セウタとメリージャがあります。
各県には自治体にあたる8111のムニシピオ（municipio）から構成され、
州によっては県とムニシピオの間にコマルカ（comarca）という機関が設置されています。
カタルーニャではスペイン語だけでなく、カタルーニャ語も公用語であり、バスクでもバスク語が公用語であったりと地域によって、特色が異なります。
近年では、バルセロナのあるカタルーニャ州の独立がニュースを騒がせていましたが、まだ独立には至っていません。
全ては、イベリア半島のレコンキスタ（Reconquista）国土回復運動や、様々な歴史が絡んでいるのですが、
それぞれの自治州について、簡単に見ていきましょう。
アンダルシア州 州都 Sevillaセビリア（セビージャ）
各県 セビリア、アルメリア、カディス、コルドバ、グラナダ、ウエルバ、ハエン、マラガ
マドリードから約390km南西に位置し、セビリアはアンダルシア州の州都としてスペイン南部最大の政治・文化・経済の中心地となっています。
スペインのイメージであるフラメンコや、闘牛、ひまわり、白い家、情熱的なイメージはアンダルシア地方から来ています。
グラナダ、セビリア、コルドバを含むアンダルシア州は、
8世紀初めのイスラム教徒によるイベリア半島征服から13世紀半ばにキリスト教勢力によって奪回されるまでイスラムの支配が続いていたため、
アルカサル（王宮）などイスラム建築物が多く残っています。
アラゴン州 州都 Zaragoza（サラゴサ）
各県 サラゴサ、ウエスカ、テルエル
特色
州都のサラゴサへは、高速鉄道レンフェでマドリードから約１時間15分、バルセロナから約１時間40分。
マドリードとバルセロナの間に位置しています。
サラゴサは8世紀初頭にイスラム教徒によって支配されましたが、その後のレコンキスタ（国土回復運動）によって再びキリスト教徒の手に渡り、
スペインの基礎ともなったアラゴン王国の都として繁栄しました。
スペインで最も美しい町の一つと言われる『アルバラシン』とういう中世に迷い込んだ町も有名です。
ちなみに『アルカサル』など『アル〜』で始まる言葉はアラブ時代から由来しています。
アストゥリアス州 州都 Oviedo（オビエド）
各県 アストゥリアス
特色
カンブリア海に面した、スペイン北部に位置しています。
8世紀にアストゥリアス王国が建国された場所でもある州都オビエドにはたくさんの世界遺産があり、歴史と自然に恵まれた地域です。
イベリア半島をイスラムから奪還しようとするレコンキスタの出発点とも言われています。
アストゥリアス州の固有の言語はアストゥリアス語で、州固有の言語として法律で保護されているそうです。
エストレマドゥーラ州 州都 Mérida（メリダ）
各県 バダホス、カセレス
特色
ポルトガルと接する、マドリードの西側に位置する自然とローマ遺跡が見られることでも有名な州です。
エストレマドゥーラ州には2つの県（バダホス県とカセレス県）があり、メリダ（バダホス県）にスペイン最大とも言われる
多数のローマ遺跡群が見られる街となっています。
カスティーリャ・イ・レオン州 州都 Valladolid（バリャドリッド）
各県 バリャドリッド、アビラ、ブルゴス、レオン、パレンシア、サラマンカ、セゴビア、ソリア、サモーラ
特色
マドリードの北側に位置する元々は中世のレオン王国とカスティーリャ王国の中心地だった地域で、
レオンはレオン王国の都、ブルゴスはカスティーリャ王国の都でした。
スペイン最大の自治州であり、スペイン北端にあるキリスト教の３大巡礼地にあたるサンティアゴ･デ･コンポテーラを目指す巡礼の旅
の半分の道のりはカスティーリャ･イ･レオン州を通り抜けることになります。
美しいスペイン語が話されている地域とも言われているため、サラマンカ大学にはたくさんの留学生も勉学に励んでいます。
カスティーリャ・ラ・マンチャ州 州都 Toledo（トレド）
各県 トレド・アルバセーテ、シウダ・レアル、クエンカ、グアダラハーラ
特色
マドリードに接する広大な地域であり、有名なミゲル・デ・セルバンテスの『ドン・キホーテ』の舞台とでもあります。
風車やひまわり畑などスペインらしい風景が広がり、マドリードから１時間ほどで訪れることができるため、
観光地としても人気があります。
古都トレドは、トレド大聖堂をはじめとする歴史的な建造物だけでなく、
古代ローマ・西ゴート王国・後ウマイヤ朝といった文化が残り、世界遺産にも登録され「町全体が博物館」と言われています。
カタルーニャ州 州都 Barcelona（バルセロナ）
各県 バルセロナ、ジローナ、リェイダ、タラゴナ
特色
スペイン北東部のカタルーニャは独自のカタルーニャ語、文化を持つ自治州のため昨今も独立問題が度々取り上げられています。
観光だけでなく、世界の企業も集まる産業としても潤沢な地のため、スペインの貧しい地域へ流れている自分たちの税金問題などから
独立を訴える人々も多くいます。
バルセロナのアントニオ・ガウディ作品群をはじめ、ジローナのサルバドール・ダリ美術館、
リェイダ県のユネスコ世界遺産に登録された9つの教会群や美しい地中海など観光地としてもっとも栄えている地域です。
ガリシア州 州都 Santiago de Compostela（サンティアゴ・デ・コンポステーラ ）
各県 ア・コルーニャ、ルーゴ、オウレンセ、ポンテベドラ
特色
スペイン北西に位置し、南はボルトガルに接し、豊かな海岸線（リアス）と緑豊かな内陸部、
スペインの貯蔵庫とも言われるほど食べ物が美味しいことでも知られている地域です。
ケルトの地を受け継いだ人も多く、ケルト文化も垣間見ることができ、ガリシア語が公用語となっています。
ザラで有名なアパレルメーカーはア・コルーニャ県のアルテイショに本社を構えています。
サンチャゴ・デ・コンポステーラは、ローマ、エルサレムに続く世界三大キリスト教の聖地であり、
巡礼道は「カミーノ」と呼ばれ、「道」の世界遺産に登録されています。
