スペインを含めたユーロ圏を旅行するときにお世話になるユーロ紙幣や硬貨。カードで支払うことも多いので、あまりじっくり見ることはないかもしれませんね。現在使われている紙幣のデザインは第1シリーズと第2シリーズの2種類あります。どちらのシリーズも時代と建築様式をテーマにしていて、表には門や窓、裏には橋が描かれています。5ユーロ札は古典、10ユーロはロマネスク、20ユーロはゴシック、50ユーロはルネサンス、100ユーロはバロックとロココ、200ユーロはアール・ヌーヴォーの様式を表しています(500ユーロは第1シリーズのみで、20世紀の様式を表現)。第2シリーズへの切り替えは2013年から段階的に行われています。
そして、ユーロ紙幣には偽造を防止するための様々な工夫が取り入れられています。主なものは透かし模様とホログラムで、視覚障害がある人でも券種などがわかりやすいようにさわり心地も工夫もされています。
さらに番号にも工夫がされています。紙幣にはアルファベットと11桁の番号が印刷されていますが、各国にアルファベットと数字が割り振られていて、そのアルファベットと一連の数字を足し算した答えから印刷した国がわかるのです。具体的には、紙幣の番号を全部足して、その答えが2桁なら1桁になるまで足し算した数が、印刷した国を表しているのです。たとえば、「V20483031154」の場合、Vはスペインを表していて、2+0+4+8+3+0+3+1+1+5+4=31、さらに3+1=4。4もスペインに割り振られた数字なので、スペインで印刷された紙幣ということがわかります。さらに、割り振られたアルファベットには対応する数字があり、アルファベットを数字に置き換えてできた数字を9で割ったときの余りが8になるそうです。これに合わない紙幣は偽造紙幣の可能性があります。
一方、ユーロ硬貨は、表は共通のデザインで、裏は各国の独自のデザインになっています。あたりまえですが、どのデザインの硬貨もすべてのユーロ圏の国で使えます。記念硬貨など別のデザインの硬貨を発行するときは欧州委員会に通知する必要があるそうです。
ユーロ紙幣や硬貨、使う機会があったら一度じっくり観察してみてください。数字が好きな方はどの国で印刷されたかを計算してみるのも面白いかもしれません。もし、アルファベットの表す国と数字が表す国が違ったら…?もう一度計算してみてください。