スペイン語には1つ1つの単語の意味がわかっても全体としての意味がわかりにくい慣用句がたくさんあります。日常的によく使われるので、意味がわからないと会話についていけないことも。
今回はlecheを使った表現を見てみます。
lecheは「ミルク、牛乳」の意味ですが、慣用句になると全く違う意味になるので少しずつ覚えていきましょう。
1) Tener mala leche「性格が悪い、悪意がある、怒りっぽい」
文字通りに訳すと「悪い乳を持っている」となりますが、意味がよくわからないですよね。
赤ちゃんが母親や乳母から飲ませてもらうleche「母乳、乳」は、赤ちゃんの体だけでなく性格や性質にも強い影響を与えると考えられていたようです。性格が悪い人は小さい頃に悪いお乳を飲んだのだろう、という感じなのでしょうか。
– Mi hermano tiene mala leche. No entiendo cómo ha podido decir esas cosas.
私の兄は性格が悪い。どうしてそんなことが言えたのか私には理解できない。
2) Estar de mala leche「機嫌が悪い」/ ponerse de mala leche「機嫌が悪くなる」
またまたmala lecheですが、今度は状態を表す形で使われています。
ponerse de mala lecheは「機嫌の悪い状態になる」という変化を表し、enfadarseと同じ意味です。
estar de mala leche はestar enfadado/a, estar de mal humorと同じ意味です。
– Mi jefe está de mala leche. Es mejor no hablar con él hoy.
ボスの機嫌が悪い。今日は彼と話をしないほうがいい。
– Mi madre se puso de mala leche cuando empezó a llover.
母は雨が降り出すと不機嫌になった。
3) Darse una leche「ぶつかる(ぶつかったり転んだりして痛い目に合う)」
今度はlecheに不定冠詞がついていて、なぜ?という感じですね。
この場合のlecheはgolpe「殴打、衝撃、ぶつけること」の意味で、darse una lecheは、自分でどこかにぶつかったり転んだりして痛い目に合うことを意味します。
meterse una leche, pegarse una lecheも同じ意味で使います。
– Me di una leche con ese mueble ayer cuando volví de la fiesta.
昨日パーティから帰ってきたときその家具とぶつかった。(ぶつかって痛い目に合った)
4) Dar una leche (a algo o a alguien)「(誰か・何かに)一発お見舞いする、殴る」
これは先程と同じuna lecheで「殴打、衝撃、ぶつけること」を誰か、または何かにお見舞いすることを意味します。
meter una leche, pegar una lecheも同じ意味です。
– Si no te callas, te voy a dar una leche en la cara.
黙らないと顔に一発お見舞いするぞ。
5) Ser la leche「並外れた、素晴らしい、すごい」
今度はlecheに定冠詞がついています。
この表現はいい意味でも悪い意味でも使われます。
誰か、または何かに対してEs la leche.という場合、「素晴らしい!とてもいい!」と褒めたり称賛したりする意味で使われる場合もあれば、
「信じられないくらいひどい、あきれるくらいに悪い」という意味で使われることもあります。
– Este ordenador es la leche. Es el mejor que he comprado.
このコンピューターは素晴らしい!今まで買ったものの中で最高だ。(称賛の意味)
– Eres la leche, siempre te olvidas las llaves en casa.
君は素晴らしいね、いつも鍵を家に忘れてくる。(相手にあきれている感じ)
6) Echando leches「大急ぎで」
今度はlechesと複数形になっていて、もう何がなんだかわからないですね。
「大急ぎで、慌てて」という意味で、salir, marchar, irseなどの動詞とよく一緒に使われます。muy deprisaと同じ意味です。
牛乳を持って慌てて歩くと牛乳がこぼれますね。慌てて牛乳を撒き散らしながら、というイメージなのかもしれません。
– Maria se fue echando leches cuando supo la noticia.
マリアはその知らせを知ると大急ぎで出ていった。
7) A toda leche「全速力で、最大限で」
最後はlecheにtodaがついています。
意味は「全速力で、最大限で」の意味で、a toda velocidad, a todo volumenと同じ意味です。
– Terminé los deberes a toda leche para ir al cine.
映画に行くために宿題を全速力で終わらせた。
– Ella siempre pone la música a toda leche.
彼女はいつも音楽を最大音量でかけている。
lecheを使った表現、いかがでしたか?
¡Eres la leche!と言われたら、褒められているのか、けなされているのか、文脈から判断してください(笑)。
カフェ・コン・レチェでも飲みながら、lecheの表現のイメージに慣れていきましょう!