スペイン語の名詞には男性名詞と女性名詞とがあり、冠詞にも男性形と女性形があります。名詞の性(男性名詞か女性名詞か)と数(単数か複数か)によって冠詞の形が決まる、というのが原則です。
たとえば、”casa”(家)という単語は女性名詞なので、”una casa” (一軒の家)、”la casa”(その家)、”unas casas”(数件の家)、”las casas”(それらの家)のように、冠詞の形が変わります。男性名詞の”vaso”(コップ)なら、”un vaso”(1つのコップ)、”el vaso”(そのコップ)、”unos vasos”(いくつかのコップ)、”los vasos”(それらのコップ)となります。簡単ですよね。
では、”agua”(水)につく定冠詞はどうなるでしょうか?基本に従えば、”agua”は単数の女性名詞だから、”la”がつくはずですね。ところが正解は”el agua”です。アクセントのある”a”で始まる女性単数名詞に定冠詞がつくときは、発音上の関係で”la”ではなく”el”がつきます。
例)el área(その区域)、el hacha(その斧)、 el águila(そのワシ)、el ama(その主婦)
・このルールは定冠詞が名詞の直前につく場合のみに適用されます。定冠詞と名詞の間に他の言葉が入る場合は適用されず、冠詞は名詞の性に合わせた女性形になります。
例)la misma agua(同じ水)、la extensa área(その広大な区域)、la afilada hacha(その研がれた斧)
・後ろに形容詞や他の語句が来る場合は名詞の性に合わせた女性形になります。
例)el agua limpia(そのきれいな水)、el arma blanca (その刀剣)
・不定冠詞がつく場合は男性形、女性形のどちらも可能ですが、男性形が一般的です。
例)un/una área(1つの区域)、un/una hacha(1つの斧)、 un/una águila(1羽のワシ)
・”algún” や”ningún”がつく場合も男性形、女性形のどちらも可能ですが、男性形が一般的です。
例)algún/alguna aula、ningún/ninguna aula(aula:教室)
いかがでしたか?「”agua”には”el”をつける」となんとなく覚えていた方も多いと思いますが、なぜそうなるかのルールが理解できれば他のケースにも対応しやすいですね。今回は発音上の関係の例外的なケースでしたが、「”la agua”でも”el agua”でも、どちらでも発音できるけど」と思えてしまうのは私だけでしょうか。